人生を豊かにするストイックさの源
「これまでさまざまなチームでプレイしてきましたが、すべて自分で決断してきたこと。その結果も自分の責任であり、とにかく全力でやるしかないと思ってやってきました。そもそも環境や周囲からの意見は、自分でコントロールできるものではありません。自分でコントロールできるのは、当たり前ですが自分自身だけです。だからこそ、他人の考えよりも、自分がどう考え、何をしたいか、そして全力で取り組めるか。そこに集中するように心がけています。自分がやりたいことに全力で取り組めれば、その結果がどうあれ、後悔することもないからです。
そして毎日のトレーニングといった普段の積み重ねが自信へとつながり、自分自身をコントロールできる精神状態を保ってくれると信じています。僕はサッカーを続けているだけで批判を受けることもありますが、人が人を批判するのは自由です。でも、僕にはサッカーをやる理由があり、目標があるからやっている。だから人の言葉を気にするよりも、毎日小さなことを積み重ねていくだけなのです」。
周囲に惑わされることなく、自分が何をしたいかを見極める。そして自分を律し、やるべきことへ一心に打ち込む。その実直なまでの姿勢は、トレンドや時流に流されることなく、半世紀もの間、誰にもまねできない独創的な世界観を築き上げてきた、アルマーニにも重なるのだ。それは目標を成し遂げ、後悔のない人生を送るために、ふたりが日々実践してきたストイックな生き様なのである。
「どんなに努力しても、人生は結果が出ないことのほうが多いですが、努力したことは決して無駄にはならないと思っています。僕らは試合内容がすべてであり、出場すらできないこともある。ですが、それが全身全霊をかけて取り組んだ結果ならば、後悔の余地はなく、むしろ気持ちを豊かにしてくれるのです。もちろん結果が出ないことへの悔しさはあるし、キツさも感じますが、それらは自分が生きていると実感させてもくれる。だから俯瞰してみると、すべてが人生においてはプラスとなっていくと思えるのです」。
今年で90歳を迎えたジョルジオ・アルマーニは、ミラノコレクションに参加する最年長デザイナーとして今もランウェイに立ち、群雄割拠のファッション界でトップクリエイターとして活躍している。そして現在57歳の三浦知良は、日々の厳しいトレーニングをこなしながら、国内最年長のプロサッカー選手としてハードなプロのフィールドを全力で駆け続けている。こうした年齢を言い訳にしない現役への飽くなきこだわりこそが、両者のストイックな生き様の源泉であり、充実した人生を送るための秘訣に違いない。
[問い合わせ]ジョルジオ アルマーニ ジャパンwww.armani.com