愛すべきことへの変わらぬ思い
ファッションもスポーツも、なにより研ぎ澄まされた感性やセンスがものをいう世界と思われがちである。それらはもちろん大切だが、緻密な計算に裏打ちされているからこそ、大きな成果につながるもの。つまりファッションであれ、スポーツであれ、プロフェッショナルの仕事とは計算されたディテールの集積にほかならないのだ。そんなプロの世界で長年成果を出し続けてきたアルマーニと三浦は、ベテランの域に達してなお、どのようにプロとしての高い意識を保っているのだろうか。
「今もサッカーをもっとうまくなりたいと思っているし、うまくなれると信じてやっています。その気持ちは10代からまったく変わっていないのです。それと試合に出たいという意欲も変わりません。そのためには厳しい練習を日々こなさねばならず、またこなせなければピッチに立つ権利はないと、肝に銘じて取り組んでいます。とにかく試合に出て、ゴールを決め、勝ちたい。今の僕にはそれがすべてであり、その一心のみ。ほかにプロとしてサッカーを続ける特別な理由はないのです。
現実として、試合に出られないことも多くなっており、そのたびに悔しい思いもしています。ブラジルでプロ選手としてデビューした19歳のころも試合に出られないことが多かったのですが、当時抱いた悔しさはいまも変わりません。肉体的には衰えても、そうした気持ちは衰えていないと感じるのです。そして人間は年齢に関係なく、気持ち次第でいくらでも改善できるし、成長できると思うのです」。
サッカーへの変わらぬピュアな思い──。それこそが三浦のプロフェッショナルとしての意識の根幹となっているに違いない。そんな三浦はイタリア時代、オープン前のブティックのショーウィンドウをジョルジオ・アルマーニ本人が自ら整えている姿を偶然目撃し、世界トップのデザイナーとなっても労を惜しまず、こだわりを貫く姿勢に感銘を受けたという。そのエピソードからは、三浦同様“マエストロ”となっても変わらない、アルマーニのファッションへの尽きない情熱をうかがい知ることができるのだ。そして、そうした三浦のサッカーへの強い決意は、次のような自己統制術にも支えられているのである。
ジャケット39万6000円、シャツ29万7000円[9月6日オープン表参道店限定品]、パンツ21万7800円/すべてジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン www.armani.com)
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