他にはない味を追い求め続けて完成したアリランラーメン
1972(昭和47)年創業の「八平の食堂本店」。店主の古市 豊さんが当時屋台を引いて営業していたときに、お客から「他では食べられない個性的なラーメンを作ってほしい」というリクエストをもらい、5年間の試行錯誤の末に「アリランラーメン」を完成させた。
「アリランラーメン」は、たっぷりのタマネギと豚肉の甘味が溶け込んだ醤油味のスープに、ニンニク、ニラ、ネギを加え、自家製ラー油とすりおろしニンニクがさらにコクをプラスしたピリ辛ラーメン。その名前は商標登録にもなっている。
“アリラン”の由来は、その昔に朝鮮半島に存在した伝説の峠「アリラン峠」が由来。「八平の食堂本店」も峠に位置しており、「昔の峠越えは非常に困難で、途中で元気をチャージしなければ越えられなかったはず」との考えから、スタミナ満点のラーメンを開発し、命名したという。
店の玄関に置かれたメニューには“アリランラーメン”のルーツについて説明が記載されている。
店の入口横にあるウェイティングボードに名前と人数、車の色などを記入し、順番を待ちながらメニューを考える。メニューは「アリランらあめん」「アリランチャーシュー」「チャーシューめん」「らあめん」の4種類。
それぞれ大と中のサイズ(「らあめん」のみ小もあり)を選ぶことができ、辛増しも可能だ。またこの店では、メニューを決めて最初に料金を払うシステムになっている。
着丼まで時間がかかるという声も多いが、実は「八平の食堂本店」では、ラーメン乗せる具材はいっさい作り置きせず、注文が入るたびに野菜を切って調理しているのだ。玉ねぎを刻み、豚肉、ニンニク、ニラをじっくり炒めてから麺を茹で、その間に具材をスープで割り、丼に麺を分けて提供するという一連の作業を、注文ごとに行っている。
豊かな自然にかこまれた店のロケーションに加え、スタッフの方の「できたてを食べて欲しい」という心意気を感じながら、店に訪れる人が「ゆっくりでいいんですよ」というやさしい気持ちになれるのは、この店ならでは。ラーメンができるのを待つ時間も、ぜひ楽しんでもらいたい。
3/3