たびたび氾濫してきた中国地方最大の河川
2018年6月28日から10日間で、死者223名という甚大な被害をもたらした西日本豪雨。小笠原さんは当時、NHK松江放送局の浜田支局に勤めていた。
実家がある島根県江津市桜江町には、中国地方最大の一級河川・江の川(ごうのかわ)が流れており、島根県ではこの水系による浸水被害が発生した。
平常時の江の川。写真=本人提供
「実家から江の川までは、田んぼと畑を挟んですぐ。昔からたびたび氾濫してきたことは知っていましたが、子供の頃は姉弟で川遊びをしたり、父親と鮎釣りに行ったりした、すごく親しみのある川です。
当時、実家付近の川岸には堤防ができていましたが、町内にはまだ堤防のない地帯も多く残っていました」(小笠原知恵さん、以下同)。
江の川に堤防が造られたのは1972年と1983年の水害がキッカケだった。
「このとき私はまだ生まれていませんが、実家が水没して大変だったと聞いています。水害の跡は今も看板などで街に残されていて、JRの駅には浸水した高さが記されていました。小学生の身長くらいは軽く超え、見上げる高さにあったと思います」。
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