レッドウィングの「エンジニアブーツ」とは
アメリカ中西部に位置するミネソタ州。そこに、レッド・ウィングシティという小さな町がある。お察しの通り、シューブランド、レッドウィング(RED WING)の名前の由来になった町だ。
同社は1905年、彼の地で産声をあげる。発起人はドイツからの移民でもともと現地の革工場に勤めていた男、チャールズ・H・ベックマン。
時は全米に工業化の波が押し寄せ、電信や製鉄などの新しい技術が大きな発展を見せ始めた時代。鉄道網も張り巡らされ、豊富な天然資源を背景に国自体が先進的な工業国として国際社会で名を馳せていく途上だった。
【写真12点】「レッドウィング“エンジニアブーツ”」の詳細写真をチェック その流れに追随するようにレッドウィングも、1912年に「チーフライン」と呼ばれるワークブーツを発表。大ヒットを飛ばし、企業として発展を遂げていくことになる。
質実剛健なブーツはハードに働く者たちを支え、多くの支持を獲得。その中で誕生した一足がレイルロード・エンジニア(鉄道機関士)のために作られた「エンジニアブーツ」だ。
1930年代に登場した新たなタイプのワークブーツは、’50年代に入ると市場で存在感を発揮していく。牽引したのは、経済成長を見せるアメリカにあって強い主張を目論んだ若者たちだ。
反社会的スタイルの一翼を担ったエンジニアブーツは、これまで作業場で着る服や靴に制限をかけられていたワーカーたちへも影響を及ぼし、徐々に受け入れられていく。
そして、やがて日本へも波及。実用靴としての背景がありながら、ファッションアイテムとして徐々に存在感を高めていくのである。
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