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就職活動を始める際に頭をよぎったのは、「今までやってきた研究などのアカデミックな世界ではなく、もっと身近な食に関わる仕事に就きたい」ということ。食の中でも聖衣さんが選んだのは「家庭の食卓」だ。

そんな経緯もあり、「味ひとすじ」というモットーを掲げ、お茶漬けを看板商品とする永谷園に就職が決まった。

「実家の食卓にもお茶漬けはお馴染みのメニューでした。野球部の弟が体が細かったので、ご飯を2杯食べた後に締めでお茶漬けをサラサラとかき込むんです。それを見ながら私も横で食べていました」。

永谷園が初めて「お茶づけ海苔」を発売したのは、日本が復興に向けて歩み始めた1952年。社内には当時の商品が大切に展示されていた。

前身は製茶業者だったため、当時は茶葉用のガラス瓶に入れて売られていた。

前身は製茶業者だったため、当時は茶葉用のガラス瓶に入れて売られていた。


現在、お茶漬けの製造工場は茨城、三重、岡山の3カ所にあり、メインの「お茶づけ海苔」単体で累計約170億食、レギュラー茶づけ(さけ、梅干、わさびなど)トータルでは約270億食にものぼるそうだ。

創業の味が変わることがないよう、海苔、抹茶、昆布など、使用原料の吟味を徹底的に行っている。

お茶づけの調味玉(緑色の粒)を作っているライン。

お茶づけの調味玉(緑色の粒)を作っているライン。


なお、聖衣さんが最初に配属されたのは商品に使う原料・素材を研究開発する部署。すぐに採用されるわけではないが、中には「しじみ70個分のちから」という大ヒット商品も生まれた。

さらに、お茶漬けやふりかけの味作りを担当する部署への異動を経て、現在のマーケティング本部での勤務となる。

「私はお茶づけの担当で、既存の商品のPRや新商品の企画・開発を行っています。2020年から始めたのは、小さなお子さまの朝食習慣としてお茶漬けを啓蒙する『めざまし茶づけ』という活動。

子供がグズって朝ご飯を食べてくれないというママさんの声が発端です。今年の3月にはお子さま向けの朝専用茶づけを発売し、おかげさまでヒットしています」。

ラインナップは「さけ青菜茶づけ」「たらこわかめ茶づけ」「クリーミーカレー茶づけ」の3種類。

ラインナップは「さけ青菜茶づけ」「たらこわかめ茶づけ」「クリーミーカレー茶づけ」の3種類。



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