コルベット"伝統と最新“のハイブリッド
502psのV8エンジンにモーターを組みあわせることでシステム全体で最高出力664psを発揮。
2020年に登場した現行型(C8)からV8エンジンをミッドに置いて後輪を駆動させるようになった、シボレー「コルベット」からもモーターを搭載した「コルベットE-Ray」が登場した。
現行型から、ようやくフェラーリやランボルギーニなどイタリア勢と同じレイアウトとなったわけだが、搭載されたエンジンは、未だにターボのない自然吸気で、高回転域で有利なDOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)が当たり前の時代になっても頑なに、伝統のOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)を採用するV型8気筒エンジンだ。
日本仕様は本国での最上級グレードとなる3LZが導入される予定。
そんな、新しいようで「自分、不器用ですから」なC8コルベットに、ハイブリッドモデルが追加されたのだが、エンジンは伝統の自然吸気&OHV&V型8気筒のまま。エンジンが後輪を駆動させるのも他グレードと同じだ。
ただし、前輪を駆動させるモーターを搭載するという「eAWD」というハイブリッドシステムが採用されている。
システム全体で最高出力664psを発揮し、時速60マイル(約96km/h)到達までわずか2.5秒は、なんとコルベット歴代最速の加速力を誇る。
エンジンとモーターには機械的な繋がりは一切なく、すべてをシステムが制御。路面状況や車速などの情報を常に計測しているこのシステムは、前輪と後輪の駆動力配分を「はい、前輪」「後輪もうちょい!」などと瞬時に差配する。
ワインディングが連続する場面でも、滑りやすい路面でも、あらゆる状況下で優れた走行性能を発揮するという。
現行型(C8)はコルベットで初めて右ハンドル車が設定されたが、日本へ導入されるコルベットE-Rayも右ハンドルとなる。
任意のモードを選べるドライブモードは8つ。
ロングツーリングからサーキット走行までさまざまな走行状況に対応しているが、その中のひとつに「ステルスモード」がある。これを選ぶとモーターのみでの走行が可能だ。
だから早朝の住宅街などでは、猛々しいV8サウンドを目覚めさせることなく、静かに家を出発できる。
コンパクトなシステムのため、荷室スペースもしっかり用意された。
こちらも6月に予約注文が開始され、2024年納車分は15台限定で2350万円だったが、既に受付は終了。2025年以降の納車分についてはディーラーに問い合わせを。
2024年納車モデルのボディカラーはブルーのみだったが、2025年納車モデルはレッドやホワイトなど計5色が用意される。
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ポルシェ911もシボレーコルベットも、採った方法こそ異なるが、電動化という時代の波に対して、燃費重視じゃなく伝統のエンジンをどう活かすかを考えた末のハイブリッド化。
自分のスタイルはしっかりと守りつつ、いい波が来たからライドオンした感じだろうか。果たしてそこから見える景色は…… 実際にそのステアリングを握って確かめてみたい。