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2024.07.02

時計

ロレックス、カルティエ、パテック。エンケル主宰が語る“損しない腕時計”選びの視点

エンケル主宰 水澗 航さん(42歳)●1981年、石川県生まれ。ジョージ ナカシマの家具やダブレットなどのファッションブランドを扱うエンケルと、同じくPRエージェンシー、スタジオ ファブワークを統括。「日本」をテーマにした独自の発信を続ける。

エンケル主宰 水澗 航さん(42歳)●1981年、石川県生まれ。ジョージ ナカシマの家具やダブレットなどのファッションブランドを扱うエンケルと、同じくPRエージェンシー、スタジオ ファブワークを統括。「日本」をテーマにした独自の発信を続ける。


▶︎すべての写真を見る ふたつのPRエージェンシーを束ねる水澗 航さんは、主に「日本」をキーワードとしたアートワークやインテリア、ファッションの魅力を発信し続けている。

「朝起きて一杯の白湯を飲むマグカップ、いつも座る椅子、身に着ける洋服。それらが気に入ったモノならば、一日が豊かになる。

高揚感をもたらしてくれるモノをひとつひとつ身の回りに増やしていけたら。そんな思いでPRを担当しています」。

「日本の物作りを発信するうえで不可欠」と入手したのが、グランドセイコーの現行モデルである「SBGY007」。独自機構のスプリングドライブや、諏訪湖の御神渡りを表現した繊細なダイヤル表現に魅了された。「この時計が今のファッションにも合うことを伝えていくのが、僕の使命です」。

「日本の物作りを発信するうえで不可欠」と入手したのが、グランドセイコーの現行モデルである「SBGY007」。独自機構のスプリングドライブや、諏訪湖の御神渡りを表現した繊細なダイヤル表現に魅了された。「この時計が今のファッションにも合うことを伝えていくのが、僕の使命です」。


愛するモノに囲まれる幸福感は、誰しも共感できるはず。この感覚が、所有する腕時計にも通じるという。
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「デジタル機器を見れば、時刻はすぐにわかります。けれど、それでは少し物足りない。いいデザイン、そして、それを体現する深い背景を持つ腕時計で時刻を見ることは、とても有意義で、贅沢な時間だと思うんです」。
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「パテック フィリップ」のノーチラス。ジェラルド・ジェンタのデザインによる舷窓を模したベゼルや、自身の苗字につながる「水」にまつわる背景に惹かれ、「念願の一本」として入手。

「パテック フィリップ」のノーチラス。ジェラルド・ジェンタのデザインによる舷窓を模したベゼルや、自身の苗字につながる「水」にまつわる背景に惹かれ、「念願の一本」として入手。


水澗さんが所有する時計は、いわゆる「名品」に数えられるものが多いが、はたして「名品=損しない」という条件なのだろうか。

「必ずしもそうではなく、大切なのは、自分が惚れ込めるかどうか。“物買ってくる、自分買ってくる”。——これは、陶芸家の河井寛次郎が残した僕の好きな言葉。

モノ選びというのは、自己を形成する行為。誰かが決めた価値に乗るのではなく、自分でモノの背景を知り、ポジティブに、自発的に選ぶことが大事なんです」。

「カルティエ」のタンク ノルマル。オリジナルに近いとされるこのモデルは、静謐なデザインや数々の“タンキスト”たちを魅了した背景に惚れ込んで入手。

「カルティエ」のタンク ノルマル。オリジナルに近いとされるこのモデルは、静謐なデザインや数々の“タンキスト”たちを魅了した背景に惚れ込んで入手。


時刻を計る道具であり、身を飾るアクセサリーでもある腕時計は、まさに“自分のスタイル”を表現するのに相応しいアイテムだ。
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「“東京タワー的”なセレクトが、結果的には損しないという持論がありまして(笑)。生まれた背景、タイムレスな造形美、電波発信の機能性。さまざまな背景と美観が奇跡的に融合したモノの代表が東京タワー。

僕が所有している腕時計って“東京タワー的”じゃないですか?(笑)」。

「ロレックス」のデイトジャスト。時計好きとなるきっかけとなったのが、父から受け継いだロレックス。その後自ら「エアキングRef.5500」を入手。「完成されたケースデザインはやはり別格です」。

「ロレックス」のデイトジャスト。時計好きとなるきっかけとなったのが、父から受け継いだロレックス。その後自ら「エアキングRef.5500」を入手。「完成されたケースデザインはやはり別格です」。


これぞ水澗さん独自の価値観。誰もが憧れる名作時計も、このフィルターを通すと別物に見えてくる。我々もぜひこの感覚を養いたい。


OCEANS8月号「夏の買い物計画」から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック

太田泰輔=写真 髙村将司=文

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