コロナで客足が遠のき、閉店の危機
経営は順調だったが、オープンから6年ほど立った2020年、コロナ禍という予期せぬ事態に見舞われてしまう。内田さんの店も多くの飲食店と同様、突如苦境に立たされた。
「営業時間の短縮やお酒の提供自粛などでひどいときは1日1、2組しかお客さんがこない日もありました。うちは遠方のお客さんも多くて、アイドルイベントがあったときにお店に来てくれていたのですが、イベント自体もなくなってしまったんですよね。2022年になっても状況は変わらず、さすがに落ち込みました」。
経営難による新たな借金も嵩み、先の見通しが立たない状況がしばらく続いた。そして2022年末に、内田さんはお店を畳む決意をした。
「お店を売却しようと、実際に購入希望の外国人の方に内見もしていただきました。その方は買うと言ってくれたのですが、態度があまり良くなかったんです。いままで努力してきたのに、ここで売るくらいだったら、もう少し自分たちで踏ん張ってみようと思い直して、頑張ることにしました」。
厳しい状況下でも諦めずに店を開け続けた結果、予期せぬ客層が増え始めた。
「2023年になった頃から、外国人のお客さんが増えたなと感じ始めました。もう少し力を入れようと、英語や中国語、韓国語のメニューも作ったり、店の前にも英語でのぼり旗を置いたりと工夫しました。焼肉やホルモンを食べる文化がない外国人のお客さんも多いのでお店で伝えながら提供しています。
最近のお客さんは外国人と日本人の割合が半々です。日本の方も半分はファンではなく一般のお客さんですね。お店に立っていると客層の変化もわかるので、その時々でニーズに合わせて新たなメニューを取り入れています。牛肉の価格も年々高騰していますが、安い食材にはせず味を守るようにしています」。
「焼肉IWA」で人気メニューの「IWAカルビ」と「上タン塩」。
店に立ち続けて客層の変化を感じ取るとともに、実家の精肉店から新鮮な肉を卸していることが味の質を良好に保つ秘訣のようだ。
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