また、4年間の実務経験を経て、公共事業の地質調査、検討業務を請け負うことができる技術士の資格も取得した。合格率は約10%、「かなり勉強しました」と美織さん。
そんな美織さんを推薦してくれたのは、地質技術者の大先輩で現場にもよく同行する長谷川怜思さん。
「地層を前にして、ただ眺めるだけの人もいますが、杉江は1kgのハンマーをブンブン振り回して石を割って率先して調査しています。興味を持ってやっている仕事なので、そういうアクションに繋がるんでしょうね。本音で話ができるし、僕は絶大なる信頼を置いています」。
移動中はお酒と美味しいものの話で盛り上がるそうだ。
オフィス内も案内してもらった。まずは、そこかしこに置いてある鉱物から。
「これは社員のコレクションのパイライトです。鉄と硫黄から成る鉱物で、金色だけど金ではなく“愚者の金”と呼ばれています」。
大地のマジックといえる美しい造形。
「日本が世界に誇る水晶もありますよ」と持ってきてくれたのが「ジャパニーズツイン」。ハート型の水晶だ。
ふたつのクォーツ(石英)が接合している双子の水晶とのこと。
鉱物の断面を観察するための特殊な顕微鏡もあった。光が透けるまで研磨した石や岩に特殊な光を当てると中に入っている鉱物の種類、形、大きさがわかるという。
「濃飛流紋岩を見てみましょうか。岐阜のあたりで8000万年前ぐらいに噴出したマグマが固まった石です。モニター上部に写っている黄色い部分は雲母という鉱物ですね」。
いずれにせよ、ミクロンの世界。
ところで、美織さん。そこにあるコンクリートの柱みたいなのは何ですか?
「『コア』といって地下にある岩石を掘削して採取した試料です。これを観察や分析することで、いろんな情報を得られるんです」。
当連載ではなかなかお目にかかれないカット。
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