シルバーの本体はアルミニウム×鉄製、ブラックの刃は錆びにくく耐久性に優れたセラミック製(別売りの替刃あり)。フタを閉じた状態は持ち運びやすい丸形で、180度に開くと握りやすい半円形となる。H50×W50×D13mm 2750円/ミドリ midori-japan.co.jp
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… ▶︎
すべての写真を見る 以前この連載で
娘がひとり暮らしを始めるので日用品を揃えたという話をしましたが、いろいろ買ったモノのなかで、いちばん褒められたのがこのカッター。引っ越しのダンボール開梱がラクだと感動していました。
ミドリのダンボールカッターは本当によく考えられたプロダクトだと思います。
すっぽり手のひらに収まるサイズの丸い形状で、滑らないように表面は凹凸加工が施され、フタを開けると中からセラミック製の小さい直角の刃が現れます。
ダンボールだけでなく封筒の開閉にも使えて、紙の1枚切りもスムーズなので雑誌や新聞などの切り抜きにも便利。マグネットが内蔵されているためドアや冷蔵庫に貼り付けられるし、ストラップを通せばバッグにぶらさげたりできて収納に悩むこともありません。
このカッターに出会うまでミドリというメーカーを知らなかったのですが、1950年創業の文具メーカーで、主に便箋や色紙、ノートなどを作っている紙のスペシャリストだそうです。
このカッターは以前、ソフがコラボしたノベルティで初めて知って、コロナ自粛中に届いたダンボール箱を開けるのに大活躍しました。
服が入っている荷物などは過剰に刃を立てられないので、このカッターは本当に安心感があります。家には3個あり、会社や店でも愛用しています。
本当にモノが好きな方々は、こうした隠れた名品を見つけるべく、通販サイトをマメにチェックしているそう。確かに知恵と技術が宿った日用品はまだまだどこかに埋もれているはず。
このカッターは2018年に発売され、それから少しずつ改良を重ねてグッドデザイン賞も受賞しています。
これを開発したチームはすごく時間をかけて、あらゆることを検証してここに行き着いているはず。いつか開発秘話を聞いてみたいですね。
藤井隆行●東京を代表するブランド、ノンネイティブのデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「今更ながら、SUPを始めました(笑)。海が身近なエリアに住んでいるので、ほかのマリンスポーツにも手を出していこうか現在検討中」。
OCEANS7月号「スタンダードこそアップデート」から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!