衰えた撥水性を復活させる魔法は“熱”!
――洗濯した方が長く撥水性を維持できるのですね。 阿部 はい。とはいえ、ずっと使っていると洗っても撥水性は徐々に衰えてきます。そんなときは、熱を加えていただくのが有効です。
阿部 ハンカチなどを当て布にし、低温設定にした家庭用アイロンをかけるだけで、撥水性は回復します。
――基本的に撥水力はどれぐらい持つものなのですか? 阿部 「ゴアテックス製品の寿命はどれくらいですか」という質問をよくいただきます。寿命がメンブレン機能の有無だとすると、ゴアテックスの防水性、透湿性、防風性がなくなることはほぼありません。ですが、メンブレン機能以外の部分が寿命を迎えることはあります。その代表例が表生地やシームテープの劣化です。
ただ、最近ではリペアサービスを行うブランドも多くなったので、上手に活用すれば長く使えると思います。そのためにも、日頃のメンテナンスは非常に重要になります。
――ちなみに、熱を加えるためにスチーマーを使うのはアリですか? 阿部 スチームアイロンは熱が上がり過ぎる危険があるので、使用しないでください。
スチームアイロンは水から蒸気へ変換するためどうしてもその蒸気が高温になります。しかも、スチームを直接吹き付けるとゴアテックス生地に対し過剰な熱負荷がかかり、撥水性が損なわれる可能性があります。
――熱を加えるという点でいえば、ドライヤーはどうですか? 阿部 アリです。実際にドライヤーを当てる方もいらっしゃいます。ただ、温度のコントロールが難しく、どれぐらい高温になっているのかが分かりにくい。ドライヤーを使うならば、強度を段階的に調節できるものを選び、一番弱い設定で行うことをおすすめします。
しっかりケアをして撥水性を回復させないと、透湿性も低下します。水を内部へ通さなくても、内部の汗や湿気を放出できなければ汗冷えにつながります。それに、ベトつきを常に感じる状態ですから快適性も損なわれますね。
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