世界最初のスポーツサンダルは1984年、グランドキャニオンで働くひとりの若きリバーガイドの手によってもたらされた。
当時のリバーガイドはもっぱらビーチサンダルを履いて事に当たっていたが、これがいざというときに脱げる。水辺で働く彼らにとってそれはやっかいな問題だった。
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すべての写真を見る 青年はある日、足を覆うストラップ=アンクルストラップを取りつけることを思いついた。はじめは時計バンドを応用したという。
試行錯誤の末に完成させたそのサンダルはテバと名づけられた。ヘブライ語で“自然”の意となる。おなじみの手のマークはポピ族の“友情と水”を表すシンボルだ。
コロンブスの卵のようなそのアイデアにヒントとなるものはあったのか、あるいはヘブライ語やポピ族のシンボルを採り入れたのはなぜなのか――いまとなってはそれらもろもろの真相は藪の中だが、ともかくその青年はアンクルストラップにたどり着いた。そうしてワールドワイドなブランドになった。
テバはアウトドアユーザーにとって待ちに待ったサンダルだった。右肩上がりにその知名度を上げていき、2012年にはついに米『OUTSIDE MAGAZINE』で影響力のあるギアTOP100に選ばれた。
『OUTSIDE MAGAZINE』は400万人を超えるアクティブユーザーを抱えるアウトドアに特化したメディア。テバは自他ともに認めるアウトドアブランドのトップにのぼりつめた。
その完成されたデザインをファッション業界も放っておかなかった。18年のアナスイのNYFWを皮切りに、サンディ リャン、モンセ、PH5、テルファー、ブルースグレンといった新進気鋭のニューヨーク・ブランドのショーにも登場した。
確固たる地位を築いたテバは現在、これからの企業としてのあるべき姿にも熱心に向き合っている。テバのメイン素材となるストラップは20年、リサイクル繊維のリプリーブに更新された。
レザーはLWG、コットンはベター・コットン・イニシアチブという世界をリードする環境保護団体の認定を受けたもののみ使っている。製造工程にもメスを入れており、17年には水使用量を3億4800万ガロン削減することに成功した。
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