2024年4月で10周年を迎えたビリーズ渋谷店。
そんなビリーズのアニバーサリーを祝うべく、OCEANS編集部で特別対談を開催! ビリーズPRの佐藤敬太さんと、彼の友人でもあるミタスニーカーズのクリエイティブディレクター・国井栄之さんに10年間のスニーカーシーンを振り返ってもらおう。
【写真15点】「世界スニーカー10年史トップ会談開催!【前編】」の詳細を写真でチェック
スニーカー業界を驚愕させた画期的機能
[左]国井栄之さん●東京を代表するスニーカーショップの名店、ミタスニーカーズのクリエイティブディレクター。数多くの別注やコラボを手掛ける、業界きってのヒットメーカー。[右]佐藤敬太さん●スニーカー業界に20年以上も携わるビリーズのPR。シーンの動向を熟知し、コラボモデルの製作にも携わる。
――スニーカーシーンを最前線で見てきたおふたりに、10年のスニーカー史を振り返っていただきたいと思います。 佐藤 ここ10年でさまざまなスニーカーニュースやトレンドがありました。なかでも、まず僕の頭に浮かぶのは「ブースト」。
ブーストといえばアディダスのイメージが強いと思いますが、確か2015年くらいから話題になり始めましたよね。
国井 ブーストはスニーカーを生業にする僕らには、すごく画期的でしたね。
ーーどんな点が画期的だったのですか? 国井 一般的にブーストと呼ばれていますが、要はミッドソール素材のことで「ブーストフォーム」というのが正式名称です。
ブーストの誕生によって、靴の作り方というかソールユニットの在り方が革新的に変わりました。
佐藤 確かに。
2015年発売の「YEEZY BOOST 350 "Ye / KANYE WEST"」。最新のデジタルエンジニアリング手法を駆使した、カニエ・ウェストとアディダスによるコラボレーション第2弾。第2の皮膚と形容されるほどのフィット感の"プライムニット"をアッパーに使い、衝撃吸収性と反発力を兼ね備えたクッション素材のブーストフォームをソールに搭載。こちらは国井さんの私物。
国井 それまでもEVAやPU素材を駆使しながら、クッション性と安定性を考慮したソール開発競争が行われてきましたが、ブーストはPUというポリウレタンを熱で膨張させ、クッションニングと反発力を併せ持つ才色兼備なソールユニットを生み出したんです。
印象的なのはやはりアディダスのイージーシリーズ。2015年発売の「YEEZY BOOST 350 "Ye / KANYE WEST"」ですね。
コラボレーションはパートナーやデザインが注目されがちですが、僕はイージーの成功はこのブーストのおかげだと思うんですよね。
国井 エポックメイキングやヘリテージモデルをベースにすることが多いコラボモデルのなかで、最新の機能をふんだんに盛り込んだ一足というのが革新的でした。
佐藤 すごく話題になりましたよね。
国井 毎回、抽選販売も大盛況でしたよ。もともとナイキと契約してエアイージーを出していたカニエ・ウェストが、契約をアディダスに切り替えてイージーシリーズを出したのが僕にとっては一番センセーショナルでしたね。
しかも、すでにあるモデルをベースにコラボシューズを作ると思いきや、デザインはクラシックだけど機能は詰め込まれている一足を出したのに驚かされました。皆の想像を遥かに超えるものが登場したことで、大きな反響を生んだとも思います。
佐藤 僕もブーストといえばアディダスの印象が強いですね。当時のスニーカーカルチャーのキーワードになっていたと思います。
もちろんビリーズでも販売していて、一番衝撃的な反響があったのはブラックのイージーブースト 750。発売日には、12月の寒空の下、店先に600人ぐらいの行列ができました(笑)。
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