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スマホは便利。だからこそリスクを生む



また便宜上、危険運転の部類には入らないが、NG行為として注意すべきなのがスマホを操作しながら運転する行為。これも立派な道路交通法違反だ。

「車に備え付けのナビはもちろん、今はスマホの地図アプリをナビにして、それを見ながら運転する人は非常に多いと思います。旅行先の知らない道を走る機会も増えるでしょう。

基本的に、ただスマホを見ていただけで即逮捕されるということはありません。要は、仮に事故を起こしてしまったときに、スマホを操作してよそ見をしていたことが原因だと明らかになれば、それが重大な過失として見られるわけです」。



結果、物損事故や人身事故を起こしてしまった場合、その程度によっては重い罪に問われることもある。

不注意による事故の場合は、過失運転致死傷罪。懲役7年以下、もしくは100万円以上の罰金が科される。

一方、故意に危険な運転をした場合は、危険運転致死傷罪となる。相手を怪我させてしまえば、15年以下の懲役。万が一、死亡させてしまった場合は、最大20年の有期懲役刑となる。

「もし交通事故を起こしてしまった場合、気が動転するかもしれませんが、とにかく落ち着いて。

相手の方の安全確認はもちろん、警察や救急車を呼ぶといった最低限の対応を行なうようにしてください。それを怠ると、さらに救護義務違反や報告義務違反などの罪に問われることになります」。



松井さん曰く、道路交通法は、対・被害者のためにあるのではなく、実は対・社会のためにある法律で、「危険運転を犯した人間をそのまま社会に放り出してしまうと、再び重大事故を犯して第2の被害者を生む可能性がある」という考え方から存在するものだという。

「例えば、物理的な損害がないスピード違反でも、それは社会的に『重大事故と紙一重の行為』だと認識しておくべき。

大型連休中は、交通量が増えて道路が混雑するぶん、スピードを出しすぎてしまう人は傾向として減ると思いますが、仮に80km/h以上の大幅な速度超過を犯せば、公判請求されてしまう可能性があります」。

危険運転やそれに伴う事故は、その多くが“過信”によって起こるもの。運転に慣れている人こそ陥りやすいという。大型連休に浮かれる気持ちは大いに理解できるが、くれぐれも油断は禁物だ。

そしてもうひとつ、忘れてはならないのが“あおり運転”だ。後半では、その詳細について解説する。

日下部美沙=写真 外山壮一=取材・文

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