アートディレクターのキャリアはサーフィンから
「ハワイでサーフィンとともに育ってきたんだ。アマチュア、そしてプロサーファー、サーフボードメーカー、シェイパーとしても。それから、サーフィンイベントのプロデュースに携わるようになった。ごく自然な成り行きだったと思うよ」。
「そして1983年にメインシリーズとしてバンズ・トリプルクラウン・オブ・サーフィンを始めた。そのためには、まずプロモーション用のポスターが絶対に必要だと考えたんだ。
80年代はまだデジタル化される前で、私は地元のアーティストにさまざまなポスターを描いてもらうのが最高だと思い、トリプルクラウンのスピリットやイメージ、エキサイティングな瞬間を表現してくれる地元のアーティストを探し始めた。それがポスターのアートディレクションに携わるようになったきっかけなんだ」。
トリプルクラウン(バンズ・トリプルクラウン・オブ・サーフィン):サーファーの聖地として知られるオアフ島のノースショアで開催されるサーフィン大会。ビッグウェーブが訪れる冬、11月中旬から12月下旬にかけて開催される。トリプルクラウンは3大会の総称で、「リーフ・ハワイアン・プロ」(ハレイワ・アリィビーチパーク)、「バンズ・ワールドカップ」(サンセットビーチ)、そして「ビラボン・パイプ・マスターズ」(バンザイ・パイプライン)でフィナーレを飾る。世界のトップサーファーが華麗な技を競い合う。
「もちろん、サーフボードの製作に携わっていたから、サーフボードのアートワークや、そのデザインを構成するものには注視していたからできたんだと思う。今思えば、40年以上サーフ業界に関わってきて、私も一緒に成長してきたんだ」。
1970年代から始まったプロサーファーの世界
ボードのシェイプはアートディレクター歴より長いそう。
「サーフィンを始めたのは10歳のとき。17歳のときには、競技サーファーとしてハワイ州のサーフィン選手権で優勝したんだけど、当時はまだ賞金がなかった。
プロサーフィンが始まったのは1976年で、私とコンテストのプロモーターのフレッド・ヘミングスが共同で、国際プロサーフィンの組織を設立した。私たちはプロサーファーの成長の始まりを目の当たりにし、サーフィンと経済活動を結びつけたいと思っていたんだ」。
「それまではアマチュアばかりだったので、私たちはワールドツアーを企画。1976年にスタートしたのが、最初のプロワールドツアーだった。私はエグゼクティブディレクターで、世界中を回ってサーフィンのイベントに関わることを生業とするようになり、そしてついに、ここハワイでのトリプルクラウンへと繋がった。
私はプロモーション、プロダクション、クリエイション、ツアーの創設、サーフボードの製作、アートディレクションに携わってきた。そのすべてがサーフィンに結びついているんだよ」。
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