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2024.04.24

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見過ごしがちな世界遺産のリアル。屋久島の美しい山に“綺麗な海”が必要である理由



連載「The BLUEKEEPERS project」とは……

2023年、世界自然遺産登録30周年を迎えた屋久島。 日本のみならず、世界中からツーリストが訪れるこの島に、一度は行ってみたいと思っている人も多いだろう。

推定樹齢7200年以上といわれる縄文杉、九州最高峰の宮之浦岳、『もののけ姫』のモチーフとなった白谷雲水峡……屋久島というと、山や森のイメージが強いが、実はダイビングやシュノーケリングなどのマリンアクティビティのメッカでもある。
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屋久島は「1カ月で35日雨が降る」と言われるほど降水量が多く、里地が晴れでも山では雨が降っているなんてこともザラ。

そして山で降った多量の雨は清流となって海へと還元されるため、屋久島の海は日本有数の水量・水質を誇っている。



さらに海から立ち上る水蒸気は雲となり、再び木々の上に雨を降らせる。つまり屋久島の山と海が互いに作用し合うことで、豊かな自然が成り立っているのだ。

屋久島のビーチは国内有数のアカウミガメの産卵場所としても知られていて、海に潜れば、ウミガメやサンゴ礁、そして赤道付近から流れる黒潮の影響で、日本一と呼ばれるほど多くの魚種を見ることができる。

体験ダイビングやシュノーケリングといった、手軽なアクティビティでも多くの海洋生物を見られるというのだから、屋久島の海の豊かさが分かるだろう。

ちなみに、屋久島では昭和35年から水力発電が行われていて、今では、なんと島内で発電される電力の99.6%が水力発電。現在は電気自動車の普及に乗り出すなど、世界で有数のカーボンニュートラルな町でもあるのだ。
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だが、そんな豊かな海を持つ屋久島といえども、海洋ゴミの問題と無縁ではない。

例えば、こちらを見てほしい。
 


巨大なサンゴ群が生息し、岬神社が祀られる一湊地区。夏ともなると海水浴場としても人気のスポットだが、ご覧のように、海流の影響で漂流ゴミが多く流れ着いているのだ。


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しかも陸路からアクセスができないポイントも多く、海から上陸するにしても潮の流れで着岸できなかったり、そもそも船をつけられない場所もあるという。



海中のゴミも深刻だ。漁網や釣り糸、ペットボトル、タイヤや一升瓶など、さまざまなゴミが海底に沈んでいて、サンゴ礁を傷つける要因にもなっている。

だが、これまで屋久島では山と比べると海の環境保全が遅れていたという。



「屋久島のふるさと納税では、寄付者の方から『自然環境保護に活用してほしい』という声を多くいただくのですが、山に比べて、海の保全にまでなかなか着手をできずにいました」(屋久島町観光まちづくり課・岩川 健さん)


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