④ 知られざる“創業の味”を紐解く旅へ「キッチン南海 松本店」
神保町の老舗洋食店「キッチン南海」。1966年の創業以来、30店舗以上に暖簾分けしていて、松本店もそのひとつ。
……なのですが、ここのカレーはどうも様子が違います。
神保町の「キッチン南海」といえば黒いルーのカツカレーなのに、松本店の自家製ルーは茶色!
オススメは「ロースカツカレー」。肉厚でジューシーなポークのうま味が口いっぱいに広がる。
店主の南山 登さんに話を伺うと「本店も昔は茶色かったんだよ。20年以上前(※おそらく1980年台後半)、黒いカレーが流行ってから黒くなった」とのこと。
南山さんは1975年の松本店オープンに先立ち、神保町店と下北沢店で修行を積みました
「今でも神保町の創業者から直々に教わった作り方そのまま。だからうちのルーは茶色いの」(南山さん)。
神保町店の前で今は亡き創業者とともに写る南山 登さん(右)。
S&Bの赤缶を用い、鍋で40分じっくり練り込んで焦がす……香ばしくほんのり苦いこの味こそ、キッチン南海のオリジンだったのです。
創業者がお亡くなりになった現在、オリジナルのレシピを今に受け継ぐ松本店。
文化遺産ともいうべき茶色いカツカレーを味わうだけでも松本に来る価値は大いにあるはずです。
どれだけ時代が移り変わろうと、揺るがずに味を守り抜く。それは覚悟というよりも、松本という土地が自然に導いたことのように感じます。
東京のように、新店舗ができては潰れ、目まぐるしく入れ替わる競争社会とはまったく違う。ゆったりとしたときが流れ、当たり前のように文化が継承されている松本だからこそ、再びキッチン南海の始まりの味にめぐり逢えるのです。
キッチン南海 松本店
住所:長野県松本市中央4-7-20
営業:11:30~19:00、火曜定休
まだまだある松本カレーの店
松本カレーの世界、いかがだったでしょうか? 厳選した4軒を紹介しましたが、熱弁したいお店はまだまだあります。
店内に一歩踏み込めばリアルインドにトリップできる「BABAじぃ」は、インド料理界のレジェンド「マシャール」のフセインシェフに教わったというチキンティッカやシークカバブが絶品です!
タンドール窯で焼かれた「チキンティッカ」は表面香ばしくスパイシー、中はふんわりとした絶妙の焼き加減。
市の公共施設・波田文化センター内にある「ナマステ/NAMASTE COFFEE」の信州野菜のポテンシャルを存分に引き出したベジミールスはとてもクリアで軽やか。ぜひ手食で味わってみてくださいね。
地元の新鮮野菜を用いた南インド式「ベジミールス」食材のフレッシュさとスパイスの爽やかな香りがたまらない。手食をすると手洗い用のフィンガーボールを持ってきてくれるサービスも。
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東京を凌ぐハードコアな食文化が松本には広がっています。守り継がれてきた伝統と若いアイデアの融合を、カレーの向こうにぜひ感じ取ってみてください。
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https://www.instagram.com/h.m.currycell?ref=badge ※写真や内容は、取材当時のものです。