前輪操舵への転換で変わったデザイン
デザインは、フィアロのデザインディレクター、平田滋男氏が担当。前輪操舵になったために、フェンダーをボディから独立させたi-ROADのような構造はできない中で、リーンしたときにもフェンダーとタイヤの隙間が狭く見えるよう、前輪がストロークしたときにフェンダーの中に入るよう、工夫したという。
左がCEOの谷中壯弘氏、右がデザインを手掛けた平田滋男氏(写真:Lean Mobility)
ヘッドランプは法規的には2眼でも問題ないが、顔が平面になるので単眼としている。ボディサイドは、背が高くなったことで腰高に見えることを抑え、伸びやかで動きのある造形に。リアで目につく上部の黒いルーバーの中には、エアコンのコンデンサーが内蔵されている。
敷地内で試乗もできた。ドライビングポジションはi-ROADよりも立ち気味で、スクーターに近い。おかげで、後席にも身長170cmの筆者が楽に乗れ、ISO規格に準拠したチャイルドシートも設置できる。
超小型EVでありながらチャイルドシートを装着できるのも特徴のひとつ(筆者撮影)
ドアを左側のみとしたことは、右側にメーターやエアコンルーバー、ドライブセレクターのボタンなどが並んでいるのを見て、理解できた。ステアリングの奥には、スマートフォンを固定できるようになっている。
走り始めて最初に感じたのは、加減速や操舵など、あらゆる動きに唐突感がなくスムーズであることだ。加えて、前輪操舵になったことで、旋回感がi-ROADより格段に親しみやすくなった。
ステアリングのロックtoロックは3回転から1回転、つまり左右半回転ずつになったが、ステアバイワイヤとは思えないほど滑らかで自然だ。操舵輪の違いはあれど、車体をリーンさせながらコーナーをこなしていく爽快感は、i-ROADに限りなく近い。
リーンしながら旋回する様子。運転感覚は自然だった(筆者撮影)
不整路ではジャイロセンサーのおかげで、左右の前輪が独立してストロークして垂直を保ってくれることも確認できた。自動車の走行技術とロボティクスの姿勢制御を高度に融合させた、「RideRoid」というフレーズに納得した。
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