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デザインの“パクリ”問題。線引きはどこ?

「ヨシオ クボ」のデザイナーであり、さまざまなブランドやプロジェクトのファッション監修も手掛ける久保嘉男さんの仕事場にて。手前はOCEANS統括編集長の原 亮太、奥は『ファッションローガイドブック2023』の編纂にも参加した海老澤美幸弁護士。

「ヨシオクボ」のデザイナーであり、さまざまなブランドやプロジェクトのファッション監修も手掛ける久保嘉男さんの仕事場にて。手前はOCEANS統括編集長の原 亮太、奥は『ファッションローガイドブック2023』の編纂にも参加した海老澤美幸弁護士。


最初の話題は、ファッションデザインの権利について。

 久保さんは独創的なクリエイティビティで世界からの評価を得られています。となると、そこでのクリエイティブの権利がしっかりと守られないといけないわけですが……。

海老澤 皆さんがまず思いつくのは「著作権」だと思いますが、著作権は創作物を保護する権利なので、実は洋服のような実用的なアイテムのデザインは、著作権で保護されるハードルが高いんです。

一方、登録をすることでデザインそのものを保護する「意匠権」という権利があります。ただ、この意匠登録は出願から登録されるまで、長い場合は1年くらい時間がかかってしまうこともあります。

久保 そんなに長いんですか。

海老澤 服の場合、年に2回シーズンがあるので、半年くらいで商品が入れ替わりますよね。ビジネスの流れが早く、出願をして登録される頃には服の販売が終わってしまう……ということも多いんです。

 ヨシオクボ(yoshiokubo)2024/2025年秋冬コレクションLOOKより。

 ヨシオクボ 2024/2025年秋冬コレクションLOOKより。


 意匠登録はファッション業界のスピード感と相性がよくないんですね……。

海老澤 ではどの法律で保護しているかといいますと、いわゆる商品のデザインの“丸パクリ”を規制する、不正競争防止法第2条第1項第3号という法律でほとんどを保護しています。

 “パクリ”の線引きはどこになるんでしょうか?

海老澤 基本的には、大きく「似ているか」と「元の商品を参考にしているか」の2つの要件から判断します。


 久保さんは、「これ盗用されてないか?」と感じた経験はありますか?

久保 僕のところで、ボーダーの生地を分割して星のかたちに切り替えた、特徴的なTシャツをたくさん作ってきたのですが、香港に行ったとき、目の前から同じTシャツを着た人が歩いてきたことがありました。よく見ると、星が生地の切り替えじゃなくてプリントで……。


▶︎権利保護の詳しい内容を動画でチェック!
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