中綿の封入量だけではない「寝袋の暖かさを左右する要素」
当然、「中綿の封入量が多い=温かい」が収納サイズも大きくなる。モンベルの大定番「シームレスダウンハガーシリーズ」をスタッフバッグに入れると、#1、#3、#5でこれだけサイズが違う。
寝袋の暖かさを示す対応温度域は、実は単純な中綿の封入量だけで決まるものではない。
中綿を包み込む布地の種類や厚み、ジッパーやステッチ、首回りやダウンボックスの構造などのディテールも暖かさを左右する重要な要素となる。
シームレスダウンハガーシリーズでは、冬期にも対応するEXP、#0、#1、#2にはネックバッフルが付く。写真右の#5には付かない。
例えば、同じシリーズの寝袋でも対応温度域を高めるために、ディテールの仕様を変えることも少なくない。
細かい工夫だが、ジッパーからの冷気を防ぐ重要なディテール。
寝袋内の暖まった空気が首回りから逃げてしまうことを防ぐネックバッフル(ダウンの襟巻きのようなもの)や、ジッパーからの冷気の侵入を防ぐドラフトチューブなどを寒い時期向きのモデルにだけ装備していることがあるし、中綿の封入量だけでなく、種類まで変えているシリーズもある。
放熱の原因となる縫い目を最小限に抑えたシームレス構造。
また、縫い目からの放熱を抑えるために縫い目を最小限にしたシームレス構造をはじめとするダウンボックスの構造や、ダウンの質(フィルパワー、FP値)によっても、寝袋の暖かさは大きく変わってくる。
「800」の表記は、800フィルパワーの中綿が封入されていることを示している。
フィルパワーの違いで、ダウンのかさ高と保温力はこんなに違う。フィルパワーが高ければ、軽いのに温かい寝袋を実現できるのだ(出典:モンベル)。
その点、「ヨーロピアンノーム」に基づいて測定された数値は、長袖長ズボンのアンダーウェアを着用した温度計付きのマネキンをキャンプ用マットの上で寝袋に入れて温度を測ったものなので、中綿量以外の要素の効果も反映された「総合的な寝袋の暖かさ」がひと目でわかりやすい。
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