そんな安希与さんを推薦してくれたのは寺務長の杉山全空さん。
「彼女は聡明で、いわゆる多才ですね。その上で困っている人を助けたいという思いも強い。一方で、音楽面でもすごくてお箏も名取なんですよ。お寺のイベントでも大活躍なので、いなくなったら困ります」。
「箏は和のイメージですが、ロック的な要素も弾ける」と感心する。
なお、全空さん、以前はエステの会社を経営しており、弘法寺に入ったのは3年前。そんな経緯もあり、お寺の5階にはエステサロンがある。
もともとは庫裡(くり)としてお坊さんが住むためのフロアだった。
ここで安希与さんにお寺の中を案内してもらった。
「ぜひご覧になってほしいのは、大変貴重な『消えずの火』です。空海さまが護摩修行をした際に焚いた火は宮島の大聖院で1200年もの間、一度も消さずに護られてきたもので、それを2021年に譲り受けました」。
中央の蝋燭の火がそれで、譲り受けて以来一度も消えていない。
廊下には2年前に95歳で亡くなった祖母の仏画がずらりと飾られていた。
仕事を定年退職してからは、国内外を旅しながら数多くの作品を残したそうだ。
さらに、納骨堂も見せてくれた。
パネルに専用のカードをかざす安希与さん。
すると、参拝室の扉が静かに開く。
この納骨堂は2015年にグッドデザイン賞に選ばれた。
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