花粉症治療は先手必勝
――花粉症対策は早いに越したことはありませんか? 初期療法がものをいいます。すでに花粉症だとわかっている人は、早めに対策をとることが大切です。発症してからだと、症状が抑えにくくなるからです。2月初旬までには開始することをおすすめします。
――「重度花粉症」という症状があるとのことですが、どんなものですか? 花粉症は、症状の種類や強さによって、「病型(病気のタイプ)」と「重症度(病気の重さのレベル)」が決められます。くしゃみや鼻水、鼻づまりの回数が一つの基準となります。日常生活に支障があるような過酷なつらさを抱える場合は、重度花粉症と診断されます。
空気清浄機など家庭用ロボットを手がけるアイロボット社が全国の花粉症に悩む1000名に行った調査によれば、約3人に1人はこの重度花粉症であることが判明しました。
自分もそうかもしれないと思うなら、アイロボット社と作成したこちらの花粉症レベルのチェックリストをご覧ください。
花粉症レベルのチェックリスト
□朝、くしゃみや鼻水、鼻づまりの発作が起こる。
□昼間、鼻が詰まってつらくなる。
□鼻詰まりが強く、夜なかなか眠れない。
□一度くしゃみが起こると、連続して止まらなくなる。
□くしゃみをすると、大量の鼻水が出る。
□目の周りが痒くなる。
□薬を服用しないと、症状が治まらない。
□毎年2~3月から5月の連休明けまで症状が出る。
□花粉症の症状により、日常生活に支障が出ていると感じる。
このリストは簡易的なものですが、10項目のうち、5つ以上当てはまる方は、重度花粉症である可能性が高いです。
――重度花粉症用のスゴイ注射があるとウワサに聞いたのですが。 「ゾレア」のことでしょう。花粉症によるくしゃみや鼻汁、鼻詰まりは、スギ花粉がIgEという抗体とくっつくことで起こるのですが、ゾレアはこのIgE抗体をブロックすることで、症状を抑制する効果が期待できる薬です。もともとは喘息の治療薬として使用されていましたが、季節性の花粉症にも効果が認められ、2019年から保険適応となりました。
ただ、かなり高額(万円単位)ということもあり、厚労省より厳しい使用規定が指導されています。
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まとめると、2024年の花粉飛散量は昨年よりは少ないものの、過去10年の平均よりは上回る見込み。さらに暖冬の影響によるスギの狂い咲きにも注意が必要だ。石井先生の言う通り、花粉症のある人は早めに対策を講じたい。
次回は、花粉症対策の盲点となる「対流花粉」について。