「Camp Gear Note」とは…… 寒い時季のキャンプでは、おしゃべりに夢中になっている隙に、せっかく温かかった料理やコーヒーがすぐに冷めたくなってしまうのはよくあること。
感覚的には理解しているだろうが、実際にどのくらいの時間で冷たくなってしまうのかはわからないものだ。
そこで、素材や構造が異なるいくつかのカップの保温力を比較検証してみたところ、素材によっては想像を遥かに超えるスピードで冷めていくことがよくわかった。
今回はこの結果をまとめつつ、簡単にできる対策がどの程度効果的かも併せてお伝えしよう。
▶︎すべての画像を見る 比較検証に使ったのは、4種類のカップ+1
左からプラスチック製タンブラー、保温ボトル、ダブルウォールマグ、木製のククサ、シェラカップ(蓋あり)。
今回は素材や構造による保温具合を比較検証するにあたり、4つのカップ+1を用意した。
最近よく見るエコなプラスチック製タンブラー、真空二重構造になっているダブルウォールマグ、厚手の木製ククサ、定番のシェラカップの4種類に加え、おまけとして軽量保温ボトルの5つである。
お湯の量は150mlで統一した。
検証方法は、まずお湯を沸かし、飲み物に見立ててそれぞれのカップに150mlずつ移す。温度を測って80℃になった瞬間から測定をスタートし、10分後、20分後に何℃に変化したかを比較する。
また測定前には一旦かき混ぜて、全体の温度を均一にしてから測ることも意識した。
80℃になったところから測定開始。
検証日の天気は快晴。風はほぼなく、気温は10℃ほど。気持ちの良い冬のキャンプ日和、といった絶好の天気のなかスタートした。
注いだ瞬間から、ぐんぐん温度が下がっていく
思っていたよりも素材による違いがはっきりと表れた。
検証を始めてみてすぐに驚いたのが、器に注いだそばから温度がみるみる下がっていくこと。
検証前は、「今日は日射しも暖かいし、まあ30分くらいは余裕で温かく飲めるんじゃない?」と、のほほんと考えていたが、結果は予想以上。
【10分後の温度】 特にシェラカップの冷めるスピードが早い!
10分後の測定結果は以下の通りだ。
ダブルウォールマグ=58.2℃木製ククサ=51.1℃
プラスチック製タンブラー=47.3℃シェラカップ=36.8℃ 50℃を超える2つは温かく飲めるが、プラタンブラーはほんのり温かい程度。キャンプではお馴染みのシェラカップは、わずか10分で体温と同じくらいまで下がってしまった。
【20分後の温度】 20分後には、ダブルウォールマグでギリギリ暖かさを感じられる程度。
さらに10分後(トータルで20分後)の測定結果は以下の通り。
ダブルウォールマグ=47.5℃木製ククサ=40.5℃
プラスチック製タンブラー=35.3℃シェラカップ=26.2℃ いちばん優秀な数値を叩き出したダブルウォールマグがほんのり温かい程度。木製ククサも割と優秀だ。残りの2つはすっかり冷めてしまった印象。シェラカップに至っては、口をつけるともはや冷たく感じるほどだった。
温かな昼間でこの結果なので、朝晩の冷え込む時間や冷たい風が吹く日なら、もっと数字は悪くなるに違いない。
ちなみにカップの中身を料理に変えても、ほぼ同じ数字が出た。この違いを見てわかるように、冬のキャンプでは少々値は張るが、ダブルウォール構造か分厚めの木製の器を用意するのが良いだろう。
蓋をするのは効果的だが……
次に、蓋をするとどのくらい違いが出るかも測定してみた。
蓋をすると、それぞれ数字は多少改善した。
20分後の温度は、プラスチック製カップは35.3℃→40.5℃に、シェラカップは26.2℃→39.6℃にそれぞれ改善したので、付属の蓋を使えば多少効果はあるようだ。
手軽な方法として、アルミホイルを被せるだけでも効果あり。
また、ピッタリの蓋がない場合は、アルミホイルを被せておくだけでも熱が逃げにくくなることがわかった。
保温ボトルならほとんど温度が下がらない。
最後に、プラスαで用意した保温ボトルを使って、同じ条件下で20分置いておいた後の温度を測定してみると、76.8℃とほとんど変わらなかった。
以上を踏まえると、冬キャンプで最も優秀なカップはダブルウォールマグ。多めに沸かした飲み物の温度をキープするのに保温ボトルを用意しておくのも有効だ。飲み切れない分はすぐ保温ボトルに移す、といった使い方もアリだろう。
定番のシェラカップは温度が著しく下がるので、再加熱できるカップであるといっても手間は増える。何よりカップ自体も熱々になるので、急いで口をつけて火傷をしないよう、十分注意したい。
せっかく熱々の飲み物や料理をおいしくいただくためにも、おしゃべりはそこそこに!