③ 試合中に折れた貴重すぎるバット

野球ファンでも、サインの入った綺麗なバットを欲しがる人は多いだろう。ただ、上村さんはちょっと違う。



「これは2021年の試合で実際に使用していたバットで、試合中、ボールを打った際に折れてしまったんです。近くで見ると、ボールの痕が所々に残っているんです」。

大谷選手がバットを折るシーンは珍しい。彼は現在、アメリカのチャンドラー社という硬くて折れにくいバットを使用しているからだ。それゆえ、折れたバットの価値は存分にある。



「おそらく、インコースのボールに詰まらされたのか、バッドの先の方には擦ったような痕があるので狙っていた球を打ち損じてファールボールを打ったのか……いろいろと妄想が膨らませるのも楽しいんです」。

上村さんは綺麗なものよりも、実際に試合で使った汚れたものに強く惹かれるという。

「集めるのは臨場感を感じられるアイテムがいいんです。手に取って初めてわかることはあると思います。使い込んだアイテムはそれを通して、どんなふうに使われていたか想像して楽しめるんですよね」。