ひょんなことから始まった育毛剤研究
店を改装するにあたり1年間仕事を休んだため、貯金はほとんど底をつき始めていたところに、借金の返済も始まりました。
隣の駅まで見えるほどの焼け野原でこれからどうやって商売を、生活をしていけばいいのか途方に暮れていました。
そして何より大変だったのは、義母を失ったショックから認知症となってしまった義父のケアでした。体をさすってあげているときは不思議と穏やかで家族の記憶もはっきりしていたことに気づき、毎日時間があるときは義父の肩揉みをすることにしました。
そのとき、義父の見事に禿げた頭部を見ているうちに、なぜそう思ったのか自分にもわかりませんが、このツルツルの頭から毛が生えたらお義父さんは若返って元気になるのではないか。認知症もよくなるのではないか。
そんなふうに思い立って始めたのが、育毛剤の研究なのです。
100種類以上の草花を塗り込むも、毛は生えず
研究といっても、身の回りにある草花を摘んできて、お酒やオリーブオイルなどに漬けたようなものを、肩を揉んであげるついでに頭に塗り込むといった程度でしたが、次はこれを試してみようと考えている時間だけは、辛い現実を少し忘れることができました。
実際の実験の様子
100種類以上の植物を試しましたが、残念ながら毛が生えてくることなく、阪神・淡路大震災から4年後に義父は亡くなってしまいました。
重度の歯周病から42歳で入れ歯宣告。からの30万本売れる歯磨き粉開発まで
ちょうどその頃、私自身が重度の歯周病と診断され42歳にして入れ歯宣告をされてしまいます。
まだ42歳、入れ歯にはなりたくないと思った私は、家中にあった育毛剤の失敗作を自分の歯に塗り込んで行きました。なんとしても入れ歯になるということを避けたかったのです。
その中で一つ、高野槙から作ったエキスを使ったときにほかとは違う感覚になりました。口の中が燃えるように熱く「これはアカン!」と思いました。
しかし数日後、高野槙エキスがほかとは違う感覚だったため、もう一度口の中に塗り込んでみました。
そんなことを続けていくうちに、それまで毎週のように歯医者へ行き、痛み止めを貰わないと生活できなかったのが、まったく歯医者へ行かず、気付けば2年が経っていました。
歯の詰め物が取れてしまったので久しぶりに歯医者へ行くと、主治医がびっくりして治療の手を止めました。
「入れ歯になりたくなかったから自分で薬作ったんや」と私が半分冗談で言うと「竹内さんこれはすごいことかも知れんから、ちゃんと大学で実験してもらった方がいい。僕も力になる」と進言してくれたのです。
そこで大阪歯科大学に実験を依頼したところ、歯周病菌、虫歯菌に対して殺菌効果があることが証明され特許を取得することができました。
そして2007年「デンタアプローチシリーズ」を発売したのです。
「デンタアプローチ」歯周病治療の特許を取得したコウヤマキ配合の唯一の歯磨き粉。歯茎のマッサージもできるよう、泡立たず、柔らかいジェル状になっている。左からデンタルジェル・レギュラーサイズ 56g 1870円、マウスウォッシュ 100ml 1430円/ともにデンタアプローチ(Y&S 078-631-3377)
その後、口コミだけでたくさんの方に知って頂き、発売から累計30万本以上を売り上げ、毎日感謝のお手紙もいただくようになりました。
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