ハザードマップの想定を超える可能性も
「令和になって、台風や豪雨による洪水被害が増えてますよね。日本にも800hPa(ヘクトパスカル)規模の大きな台風が上陸するようになっています。
気圧が1hPa下がると、海面は1センチ上昇するんです。標準大気圧はおよそ1013hPaなので、仮に800hPa後半の超大型台風が接近した場合、その気圧差による海水の吸い上げ効果で2メートル近い海面上昇を引き起こします。
さらに満潮と重なれば、海抜ゼロの地域は防波堤が崩壊したり、排水ポンプが壊れたりして、水没する危険性があるんです」(安倍 淳さん、以下同)。
確かに、大型台風が発生する頻度は素人目にも増えているし、被害の大きさも尋常じゃない。
いつ自分の住む地域が自然災害に襲われるのか、他人事ではない気配を感じている人も少なくないだろう。とはいえ、何をすればいいのかわからないというのも本音だ。
「まずは自分が住む地域のハザードマップを確認し、避難の方法や避難所の場所を把握しておくことが基本です。ただ、これには留意点もあります」。
シーサバイバルの現場を知る安倍さんだからわかる、生々しい話を教えてくれた。
「ハザードマップの制作って、民間のコンサルタント業者が行ってるんですよ。制作費にどれだけお金をかけるかによって表示項目の精度や確度などが変わるから、地域によって情報の鮮度に差が出るんです。防災訓練のために最新のデータを取りたいけれど、現実的にはなかなかできない。それが現場のリアルな声です。
だから、ハザードマップ上は安全となっていても絶対安心とは思わないでほしい。災害というのは、それを超えてくる可能性がある。そのことを念頭に置いておく必要もあります」。
いざというときに冷静な行動を取るのは難しい。だからこそ、日頃から防災の意識を持ち、有事の際のシミュレーションをしておくことが大切。基本はハザードマップに頼るしかないが、想定外は起きるものと肝に銘じておく必要もありそうだ。
具体的な防災の心備えについては、安倍さんが教えてくれた
こちらの5か条を参考にしてほしい。
3/4