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2023.08.14

ドゥカティ新型「スクランブラー」と国際的デザインユニットが始める“自由な”バイクの楽しみ方



New Scrambler meet-up with Art & Fashion●アート好きも、ファッション好きも見逃せない“バイク”の話題がある。イタリアのバイクブランド、ドゥカティ(Ducati)の新型「スクランブラー(Scrambler)」だ。

元々1962年からドゥカティが生産していたスクランブラータイプのバイクを現代的に再構成して、2015年に復活した新生スクランブラーは登場から累計販売台数10万台を突破、世界中で一大ムーブメントを巻き起こした。

そして今回の新世代型スクランブラーが2023年10月、おそらく“世界初”の提案とともに日本に上陸する。

提案するのは「次世代の自由」。“アート”で加速するバイクの楽しさ



新型スクランブラーのコンセプトは「NEXT-GEN FREEDOM(次世代の自由)」。そのコンセプトに呼応するように、ドゥカティは“アート”でバイクの楽しさを提案。

タッグを組むのは国際的なグラフィックデザインユニット「グーチョキパー(GOO CHOKI PAR)」。10月の新型スクランブラーの正式発表に向けて、アート目線でのバイクライフの楽しみ方を模索するというのだ。

今回は新型スクランブラーとグーチョキパーのメンバー3名を初顔合わせの様子を独占レポート。

実車を見ながら「アート目線でのもっと自由なバイクの楽しみ方」を探るグーチョキパー3人の様子をお届けする。

ひと足先に新型スクランブラーと対峙

グーチョキパー(GOO CHOKI PAR)は写真左の石井 伶氏(パー担当)、中央の飯高健人氏(チョキ担当)、写真右の浅葉 球氏(グー担当)からなるグラフィックデザインユニット。これまでに東京パラリンピックのアイコニックポスターやNHKの大河ドラマ『どうする家康』のロゴ、さらにはイッセイ ミヤケやナイキなどのブランドと多彩なコラボを行う。https://gcp.design/

グーチョキパー(GOO CHOKI PAR)は写真左の石井 伶氏(パー担当)、中央の飯高健人氏(チョキ担当)、写真右の浅葉 球氏(グー担当)からなるグラフィックデザインユニット。これまでに東京パラリンピックのアイコニックポスターやNHKの大河ドラマ『どうする家康』のロゴ、さらにはイッセイ ミヤケやナイキなどのブランドと多彩なコラボを行う。https://gcp.design/


――初めて新型スクランブラーを見た感想は? (※名前は敬称略)

浅葉 3人とも二輪免許を持っていなくて、こうしてまじまじと大型二輪車を見ること自体が僕は初経験なので、とても新鮮。ただただカッコいい。既に、めちゃくちゃ欲しいです。

新型スクランブラーはエレクトロニクスだけでなくエンジンやシャシの進化も見逃せない。いずれのモデルも空冷803ccのL型2気筒ツインエンジンを搭載、先代モデルより2.5kgの軽量化を実現。左からスポーツマフラーに加えてレッドカラーを纏ったよりスポーティな「フルスロットル(予価147万5000円〜)」、スクランブラーシリーズのベースとなる「アイコン(同127万8000円〜)」、さらにシックでエレガント、スポークホイール採用のクラシックな「ナイトシフト(同147万5000円〜)」。

新型スクランブラーはエレクトロニクスだけでなくエンジンやシャシの進化も見逃せない。いずれのモデルも空冷803ccのL型2気筒ツインエンジンを搭載、先代モデルより2.5kgの軽量化を実現。左からスポーツマフラーに加えてレッドカラーを纏ったよりスポーティな「フルスロットル(予価147万5000円〜)」、スクランブラーシリーズのベースとなる「アイコン(予価127万8000円〜)」、さらにシックでエレガント、スポークホイール採用のクラシックな「ナイトシフト(予価147万5000円〜)」。


飯高
 オートバイに仕事として携わらせてもらうのもこれが初めて。だからこそ、このお話をいただいた時はとても嬉しくて。

せっかくこうしてドゥカティでアート的な表現をカタチにできるので、10月の発表イベントまでに3人揃って大型自動二輪免許を取得するか! って盛り上がってます(笑)。
 
スロットルはライドバイワイヤでコントロールされ、”ロード”と“ウェット”の2つのライディングモードを実装。トラクションコントロールシステムやコーナリングABSを装備し、上下対応のクイックシフトも設定される(一部オプション)。同じく、スマートフォンと接続可能になるドゥカティマルチメディアシステムも設定。

スロットルはライドバイワイヤでコントロールされ、”ロード”と“ウェット”の2つのライディングモードを実装。トラクションコントロールシステムやコーナリングABSを装備し、上下対応のクイックシフトも設定される(一部オプション)。同じく、スマートフォンと接続可能になるドゥカティマルチメディアシステムも設定。


浅葉 実はおじいちゃんの遺言で「バイクは乗っちゃダメ」って言われていて……。

一同 そうなの!?(笑)。

石井 風を切って車体を傾けて走る。そういう危険な部分も含めてモーターサイクルってやはり「自由」の象徴でもありますよね。

4.3インチTFTカラー液晶に装備が拡充されたインストゥルメントパネルを搭載。このほか、ヘッドライトやサイドウィンカー、テールライトも最新のマシンらしくライト類のフルLED化を実現している。

4.3インチTFTカラー液晶に装備が拡充されたインストゥルメントパネルを搭載。このほか、ヘッドライトやサイドウィンカー、テールライトも最新のマシンらしくライト類のフルLED化を実現している。


――グーチョキパーの3人が大事にしているものとは?

飯高 それぞれが格好いいと思うことをいつも全力かつ自由にやっているから、自分達で創るアートワークと企業とのコラボワークは特に区別していないんです。

グラフィックデザイナーという仕事を選んだのも、言葉で語るよりも、視覚でコミュニケーションできる部分を大事にしているから。だからこそ、目で喜ぶ、ワクワクするってことを大切にしています。

ヘッドライトの「×」を模したデザインは1960〜‘70年代のレーサーモチーフ。レース参戦中にライトが割れないための補強のオマージュだ。ちなみにシートの中身が厚くなり、快適性も向上させている。

ヘッドライトの「×」を模したデザインは1960〜‘70年代のレーサーモチーフ。レース参戦中にライトが割れないための補強のオマージュだ。ちなみにシートの中身が厚くなり、快適性も向上させている。


浅葉 自分たちがワクワクすることをちゃんと大切にしていたら、延長線上でこうしたコラボが始動したり、さまざまなご縁が拡がっているという感覚です。

車両概要についてレクチャーを受ける3人。初めての大型バイクに驚くも、「もっと巨大な体躯を想像していた」とも。各々スクランブラーに跨ることで、さらなるブレストからアイデアを導き、ブラッシュアップしていく。

車両概要についてレクチャーを受ける3人。初めての大型バイクに驚くも、「もっと巨大な体躯を想像していた」とも。各々スクランブラーに跨ることで、さらなるブレストからアイデアを導き、ブラッシュアップしていく。


――3人でのデザイン制作の進め方は?

飯高 誰かがまずひとりで初めて、そのボールをぐるぐる3人で回しあって創っていきます。

浅葉 3人それぞれになんとなくの得意分野があって、例えば僕はタイポグラフィが好き。飯高は手書きのクラフト感のあるラインや表現手法が得意で、石井は幾何学模様とかパターンを描くのが上手ですね。

石井 3人とも自由でこだわりが強いから、最終的に全員が納得するまで完成しません。

新型スクランブラーには複数あるモデルのキャラクターに合わせて、それぞれバーハンドルや見た目の姿勢が異なるタイプを用意している。アメリカのフラットトラッカーにインスパイアされているレーシーな「フルスロットル」は、ハンドルバーはアイコンよりも低く設定。クラッチレスなクイックシフターが唯一標準で装備されている。

新型スクランブラーには複数あるモデルのキャラクターに合わせて、それぞれバーハンドルや見た目の姿勢が異なるタイプを用意している。アメリカのフラットトラッカーにインスパイアされているレーシーな「フルスロットル」は、ハンドルバーはアイコンよりも低く設定。クラッチレスなクイックシフターが唯一標準で装備されている。


飯高 今回の新型スクランブラーのコンセプトにもある「フリーダム」であることは、僕たちグーチョキパーとしてもすごく共感しています。


 
浅葉 自分色に自由に染められる。いろいろ選べたりできるといいですよね。

飯高 我々も、表現者として一切のしがらみをなくすことやインディペンデントであることをキモにしてきたから、常々新しいものに挑戦し続けなきゃいけない、既存のものを崩していかなればいけないと思っていて。それを新型スクランブラーにも感じました。

新型スクランブラーアイコンには、黄・黒・赤の3つのベースカラーに加えて、フロント・リアのマッドガード、ヘッドライトカバー、ホイール・タグなど、取り外し可能なカラーキットが6色追加設定され、好みのデザインカスタムが施せる。

新型スクランブラーアイコンには、黄・黒・赤の3つのベースカラーに加えて、フロント・リアのマッドガード、ヘッドライトカバー、ホイール・タグなど、取り外し可能なカラーキットが6色追加設定され、好みのデザインカスタムが施せる。

――アート媒体としての新型スクランブラーの可能性

飯高 お話をいただいてから、新型スクランブラーをイメージしたアート目線での提案って何か? は3人でブレストを重ねていたんです。

あらゆる可能性があって、懐が広そうだなと。構想としては、例えば「漢字」をモチーフにしたグラフィックをマシンに入れるなどを考えていました。

イタリア車なんだけど、日本的なエッセンスをモダンな方向性でMIXできたら面白いかも。スクランブラーはこんなに遊べるんだ!と見る方々に愉しんでもらえたら最高です。



石井 カタログを見て想像していたときより、実車を見てよりカッコよくできそう。

浅葉 「軽やかさ」がキーワード。今までのイメージとは変えていきたいよね。

飯高 先ほどドゥカティの方が「ライダーは自分とバイクの写真を撮りたくなる」と言ってましたが、ステッカーとか、ウェアに付けられるワッペンや缶バッジをデザインしたりなども面白そうですよね。

あと、映える駐車スペースとか、新型スクランブラーと格好いい写真と投稿できるスポットづくりなんかも楽しそうですよね。

実車をリアルに確認後、さっそくミーティング。さまざまなアイデアで盛り上がる。基本的にはまずメンバー同士で喋り続けるブレストを大事にしているという。

実車をリアルに確認後、さっそくミーティング。さまざまなアイデアで盛り上がる。基本的にはまずメンバー同士で喋り続けるブレストを大事にしているという。


浅葉 サーフィンとかストリートカルチャーに絡めたポスターとか写真集もカッコ良さそう。

石井 日本の伝統工芸とのクロスオーバーも楽しそう。七宝焼きや陶器を用いたりするとか。西陣織や藍染を用いる、とかでも面白いかも。

浅葉 ハンドル周りに見えている黒いチューブみたいなのがあるじゃないですか。血管が見えているイメージなんですけど、そこを装飾カスタムするのは渋いんじゃないかって。

「アイコン」のガソリンタンク容量は 13.5L。缶ジュースのプルタブをオマージュした給油口など、ところどころに遊び心溢れるギミックが。

「アイコン」のガソリンタンク容量は 13.5L。缶ジュースのプルタブをオマージュした給油口など、ところどころに遊び心溢れるギミックが。


飯高 例えば車体のワンポイントに入っているロゴのシールがカッコ良かったりすると萌えるじゃないですか。そういうディテールの部分で、タンクの注意書きのシールとかも、しれっとデザインしたいなぁ。

浅葉 これが実現したらかなり格好良くなりそうだよね。おじいちゃんには申し訳ないけど、もう免許をとるしかないか(笑)!

新型スクランブラーを目にして大いに盛り上がったグーチョキパーの3人。ここからスタートする本格的なアートワークの制作も、オーシャンズでは引き続き追いかける予定だ。

新型スクランブラーを目にして大いに盛り上がったグーチョキパーの3人。ここからスタートする本格的なアートワークの制作も、オーシャンズでは引き続き追いかける予定だ。

2023年10月。グーチョキパーも登場する新型スクランブラー発表イベントを開催!



「次世代の自由」をコンセプトにした新型スクランブラーの発表イベントを、今年10月に都内で開催予定!

イベントにはグーチョキパーも登場し、3人による新型スクランブラーをイメージしたビジュアルの完成形もお披露目される。

イベントには特別にオーシャンズ読者も限定招待。グーチョキパーのインスタレーションやオリジナルのグッズやアパレルなどの販売もぜひご期待いただきたい。

(イベント詳細)
日時:2023年10月25日(水) 19:00〜20:30(18:00~受付)
場所:RED TOKYO(東京都港区芝公園4丁目2−8 東京タワー 3階受付)
応募方法:近日発表予定
次回は3人のアイデアがより具現化される制作過程を紹介予定。

新型スクランブラーとグーチョキパーのつくる「もっと自由なバイクの楽しみ方」の続報をお楽しみに!
[問い合わせ]
ドゥカティ ジャパン
www.ducati.com/jp

佐藤 裕=写真 カストロ利樹=文 

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