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BMWの最新トレンドを入れつつも

キドニーグリルは丈がやや長くなり、ヘッドランプは吊り目気味になった。とはいえ7シリーズのように、ナンバープレートを下端に追いやるほどではなく、ヘッドランプは一般的な厚みを持つ。これまでのBMW顔に慣れ親しんだ層に、配慮したようだ。

7シリーズと比較して馴染みのあるデザインを採用(写真:BMW)

7シリーズと比較して馴染みのあるデザインを採用(写真:BMW)


サイドはキャラクターラインがシンプルになり、フロントドアの前のルーバー風アクセントも消えてスッキリした。電気自動車を用意したので、それにふさわしい表現にしたとも言える。

BMWデザインのアイデンティティの1つ、サイドウインドー後端の折り返し「ホフマイスターキンク」も健在だ。

「5」の文字が入るホフマイスターキンク(写真:BMW)

「5」の文字が入るホフマイスターキンク(写真:BMW)


3シリーズに続いて後端がドアフレームの外に張り出しており、ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを強調している。新型5シリーズでは、ここに「5」の文字を刻んできたことが新しい。

一方でルーフラインは、ゆったりしたカーブを描いていた先代よりも、直線に近くなったように見える。7シリーズの標準ボディのマーケットを受け継ぐことで、居住性に配慮したのかもしれない。

リアはコンビランプが細くなった。このあたりは7シリーズをはじめ、最近登場したこのブランドの新型と共通していて、今のBMWのトレンドを反映している。

最新トレンドを取り入れつつも、セダンらしいプロポーションは変わらない(写真:BMW)

最新トレンドを取り入れつつも、セダンらしいプロポーションは変わらない(写真:BMW)


インテリアは大きく変わった。中でもインパネは、メーターとセンターディスプレイを曲面パネルで連続させた「BMWカーブドディスプレイ」が目を引く。

こちらは7シリーズだけでなく、最近新型に切り替わった「2シリーズ アクティブツアラー」や「X1」、さらにマイナーチェンジを受けた3シリーズにも導入されているものだ。

インテリアの主役となるBMWカーブドディスプレイ(写真:BMW)

インテリアの主役となるBMWカーブドディスプレイ(写真:BMW)


BMWが、インテリアデザインの共通化を急ピッチで進めていることがわかる。新型5シリーズが、カーブドディスプレイを取り入れるのは当然のことだ。

さらに、インパネやドアトリムに埋め込まれたガーニッシュには、7シリーズ同様クリスタル調の素材がおごられ、アンビエントライトによりさまざまな色に彩ることができる。

短いスライドレバーになったドライブセレクターやディスプレイを操作するダイヤルが同じ素材になっているのも、7シリーズと同じだ。

アンビエントライトによりさまざまなムードを演出する(写真:BMW)

アンビエントライトによりさまざまなムードを演出する(写真:BMW)


ただし、7シリーズではインパネのガーニッシュが全幅にわたるのに対し、新型5シリーズはカーブドディスプレイが終わったところで切れており、ドライバーズカーであることを強調している。ドアトリムの造形もダイナミックで、高級感より躍動感を優先したことが伝わってくる。

ホイールベースの延長はわずかなので、キャビンのスペースは写真で見る限り、格段に広くなった印象は抱かないものの、後席の頭上空間は余裕がアップしているように見える。逆にトランク容量は、530リッターから520リッターへと微減した。

後席は頭上空間も含め十分なスペースを確保(写真:BMW)

後席は頭上空間も含め十分なスペースを確保(写真:BMW)


モデルによる巧みな表現に注目

7シリーズがあのような姿で出てきたとき、「残るBMWセダンも同じようなデザインになってしまうのか」と、危惧した人もいたかもしれない。

でも、以前こちらで記事にしたように、すべてを同じ顔で統一するのは難しい状況であることも事実。

新型5シリーズを見て、7シリーズとのマーケットやポジションの違いを反映してきたと感じた。しばらくBMWは、車種によってキドニーグリルの表現をきめ細かく変えてくるのではないかと予想している。



森口将之 =文
東洋経済オンライン=記事提供

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