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100年以上進化し続けてきた“元祖”

右●世界初のスチールボトルの特許。左●創業者である米国人発明家のウィリアム・スタンレー・Jr。

右●世界初のスチールボトルの特許。左●創業者である米国人発明家のウィリアム・スタンレー・Jr。


「クエンチャー」のヒットにより改めてスタンレーの実力を思い知った格好となったわけだが……ここで簡単にブランドの歴史を振り返ってみたい。

1913年、アメリカ人発明家ウィリアム・スタンレー・Jr.により1本のボトルが開発される。それこそが現在世界中で使用されている、スチール製真空断熱ボトルの原型であった。

当時のアメリカで「いつでも温かい(あるいは冷たい)飲み物が飲めるなんて!」と瞬く間に話題に。衝撃に強く持ち運びにも便利なデザインから、特に労働者たちの間で絶大な支持を得るにいたったという。

20世紀前半のアメリカ。労働者がスタンレーのボトルを愛用している。

20世紀前半のアメリカ。労働者がスタンレーのボトルを愛用している。


その実用性は高く評価され、1942年には米軍にも採用。「高度1万2000mから落としても壊れない」「トラックで引いても潰れない」「弾丸すら通さない」(!)など数々の伝説を残したそうだ。

そして1953年、機能性とタフネスを象徴するカラーの「ハンマートーングリーン」が誕生。もちろん今現在もブランドのアイコンカラーだ。スタンレーといえばこの色、なのである。



アメリカのリアルワーカーたちに、そしてクライマーやキャンパーといったアウトドア愛好家たちに愛され続けてきたスタンレー。現在は5シリーズで商品を展開中だ。

高い性能と耐久性を誇る「マスターシリーズ」。多彩なアイテムを備えアウトドア好きに人気の「アドベンチャーシリーズ」。ハンマートーングリーンの伝統的なルックスが魅力の「クラシックシリーズ」。いつでもどこでも気軽に使える「ゴーシリーズ」。上質なリラックスタイムを実現する「カフェ&バーシリーズ」である。



押しも押されぬ老舗のスタンレーだが、2022年、アメリカの家庭用品市場の食器関連部門において最も急成長したブランドとして高く評価される。プラスチック容器等の使用削減が求められている状況も追い風だっただろう。

もちろんその現状に甘んじることなく、企業として環境負荷削減のために何ができるかを模索し、実行に移していることも伝えておきたい。

グリーン系のほか、ブラックなどカラーバリエーションも豊富。「H2.0 真空クエンチャー 0.88L」各6700円[スタンレー公式EC限定カラー]/スタンレー(ドウシシャ http://jp.stanley1913.com)

グリーン系のほか、ブラックなどカラーバリエーションも豊富。「H2.0 真空クエンチャー 0.88L」各6700円[スタンレー公式EC限定カラー]/スタンレー(ドウシシャ http://jp.stanley1913.com)


2025年までに、全製品の50%にリサイクルステンレスの使用を決定。今回紹介した「クエンチャー」シリーズの製品のステンレスは、実に90%がリサイクルステンレスとなっている。また、そのほかの持続可能な材料の使用の増加、包装の最小化、温室効果ガス排出の削減など、サステナビリティに対する取り組みを積極的に推進している。

110年におよぶ歴史のなかでエポックメイキングな製品を開発し、常に進化を続けてきたスタンレー。「クエンチャー」のヒットの背景には、歴史に培われた高い技術力と揺るがぬもの作りの哲学があったのである。
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