ニューバランス「992」とは？
1906年、アメリカのボストンにて誕生したスポーツシューズメーカー、ニューバランス。数々の名スニーカーをリリースしているが、特に人気なのが990番台だ。
“時代ごとに一番良いシューズを作る”をテーマに作られたファーストモデル「990」。その志を引き継ぎ、スティーブ・ジョブスが愛したモデルとしても知られる「991」。「992」は、その後継モデルとして2006年にブランド100周年を記念し誕生した。
ややスマートなデザインに仕上げられ、ボリュームのあるミッドソールに変更された1足は、登場するや爆発的な人気を誇り入手困難に。そんな状況も相まって多くのファンから羨望の眼差しを向けられたのである。
その後、2020年に待望の復刻。再び注目を集めることとなった。なぜ、そんなにも多くの人々を惹きつけるのか、その引力の源を紐解いていこう。
【写真9点】「ニューバランス「992」とは何者か？ 990との違いは？履き心地は？魅力を徹底深掘り！」の詳細写真をチェック 「993」と「992」の違いって？
こちらはニューバランス「993」。
900番台の中でも、992と993は一見すると「同じモデル？」と勘違いするほど似たデザイン。ただよく見ると、細かいディテールが異なる。
992は衝撃吸収性や反発弾性に優れたミッドソールのABZORB SBSを搭載するが、993では992のミッドソールを進化させたABZORB DTSを搭載。さらにACTEVAを採用し、軽量化にも成功している。
つま先のメッシュ部分の面積を広げることで屈曲性を向上させ、全体的にシャープな印象を持たせているのだ。Nロゴやシュータンなど、細かい部分の違いもあるが、大きな違いはミッドソールの機能性である。
ニューバランス992に搭載されたテクノロジー
ABZORB SBS
「M998」で初採用されたもので、均一に発泡するクッションフォームを採用したクッション材であるABZORBの進化形。
衝撃吸収性と反発弾性を向上させ、セル構造を持たない均一な素材なので衝撃を受けても壊れにくく、耐久性も向上しているのが特徴だ。
ちなみにABZORB SBSが初採用されたモデルは「M2001」である。
C-CAP
EVA素材を圧縮成型し、クッション性を大幅にアップさせた素材で、クッション性を高めると同時に、圧縮させることにより素材の劣化を抑制している。
実はこのディテール、日本支社主導で開発されたものということはNBフリークの間では有名な話。
ENCAP
シューズ外側に耐久性に優れたPU素材、内側にクッション性の高いEVA素材を組み合わせたミッドソール構造のこと。
衝撃吸収性と安定性を両立させ、抜群の履き心地を実現したクッショニングシステムだ。
N durance
耐摩耗性に優れたラバー素材のことで、登山靴や防寒靴などにも採用されるラバーコンパウンドを改良させたもの。
走るときに摩耗しやすい踵部分に使用することで、スニーカーの寿命を伸ばす役割を果たす。
N ERGY
衝撃吸収性とエナジーリターンを持たせる弾性素材のこと。高いクッショニング効果とレスポンスを実現し、耐久性も高い素材でもある。
TS2
ランニング時に足が内側に倒れ込んでしまうプロネーション現象を防止するために、素材の硬さを段階的に変えるシステムのこと。これにより、安定した歩行が可能になった。
ニューバランス「992」の特徴と魅力
デザイン
アッパーに採用した天然のピッグスキンスエードは、アメリカの老舗シューズブランド・ウルヴァリン製のもの。滑らかで柔らかい素材は、スニーカーながらも品のいい雰囲気を演出する。
アイコンディテールのNロゴは990番台の中ではひと回り小さく配置し、シュータンの小さなシューループにもロゴを用いてスマートなデザインを作り上げている。また、ヒール部分にはMADE IN USAの証であるUSAロゴもさり気なく。
そんなディテールとマッチする細みのフォルムにしてソールはボリューミー。ゆえに、上品なカジュアルスタイルにピッタリだ。
履き心地
ABZORBを進化させたABZORB SBSをミッドソールに採用することで、衝撃吸収性と反発弾性を高めた「992」。そのため、長時間履き続けようと疲労感はなく、快適なフィット感を味わえる。
さらに着用時の安定感をキープするTS2やクッショニングを大幅に向上させたC-CAPやENCAP、耐久性を高めたアウトソールのN duranceと、履く人すべてが満足できる仕様に。
まとめ
発売当時の最新テクノロジーを搭載し、進化の過程でデザイン変更も試みられてきた990番台。中でも「992」は、著名人や多くのNBファンを魅了し、幅広いコーディネイトに対応する万能な1足として評価も高い。
再販も期待されるほどの名作は、スニーカーブームの今、ぜひ手にしておきたいモデルである。
