「セルフじゃないロウリュがあるのか!?」
筆者知人のフィンランド人は、日本のサウナ施設でセルフロウリュといううたい文句を耳にし、「セルフじゃないロウリュがあるのか!?」と困惑していた。
打ち水のタイミングは、人によるが30秒〜1分に1回(柄杓2〜3杯)は普通。頻繁なロウリュの熱気でサウナ内の空気を潤しつつ、体感温度を上げるのだ。
30秒〜1分に1回(柄杓2〜3杯)の「セルフロウリュ」をするのが一般的(写真提供:こばやし あやなさん)
ロウリュのたびにびっしりと水滴が全身にまとわりつき、灼熱から肌を優しく守る。この潤いとともに心地よく発汗できるのも、フィンランド・サウナが「天然のビューティーサロン」と呼ばれるゆえんだ。
ちなみに、サウナの中に極力人工的な要素を持ち込みたがらないフィンランド人は、ロウリュ水に垂らして香り付けする「サウナアロマ」もあまり使わない。
公衆サウナで見知らぬ人同士がサウナに居合わせるときは、「ロウリュしてもいいですか?」と周りに一声かけてから、誰かが自発的に水を打つ。
老舗サウナでは、自分が退出するときに、残った客のために水をかけてロウリュをプレゼントする人情文化も残っている。
「サウナが高温であればあるほど、その後の水風呂や外気浴が気持ちいい」というのが、多くの日本人サウナ愛好家が好むスタイルであろう。
しかし、高温なサウナ室でさらに焼け石に水をかけると、発生するロウリュはもはや心地よさを通り越し、刺激が強すぎて痛く不快なものに変わってしまう。
つまり本来、「日本人のサウナに対する趣向」と「ロウリュ・メソッド」はあまり相容れないのだ。
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