狩猟を生活にとりいれる、「半猟半X」の提案
星野 ということは、ですよ。つまり高野さんがやろうとしてることは、ちゃんとしたハンターをちゃんとした職業にするってことですか。
高野 そうですそうです、その通りです。昔ながらのハンターの世界にある伝統や、そこで培ってきたいいものは引き継ぎながら、若いハンターに成長の機会をつくって、狩猟の結果を無駄なく利用できるようなシステムをつくりたいんです。
星野 ハンターをしっかりしたキャリアのある、普通の職業にする。ハンターの曖昧だった部分を見える化して、それを世のなかに公開していく。それによって仕事の価値を明確にしようっていうことなんですね。
屋外に設置されたこたつで暖を取りながら、狩猟とジビエの未来を語る
高野 まさにおっしゃるとおりです。そうすることで、ハンターがフルタイムである必要もなくなるんじゃないかと思っています。
星野 というと?
高野 兼業農家を表す「半農半X」っていう言葉がありますが、あれと同じように「半猟半X」でもいいかもしれない。たとえば会社勤めをしながら、週末は狩猟をしているというような形ですね。そうした兼業ハンターであっても猟場や獲物の買取価格が安定することで、ジビエを供給するシステムのなかに入ることができると思ってます。
星野 それはいいですね。スキー業界でも、冬の農閑期にスキーガイドをしてる、なんて人がいますよ。いやぁおもしろいな。スキーも狩猟も若い人たちが活躍できる場所が増えて、地方の文化がどんどん豊かになるってうのは素晴らしいことですよね。
高野 そのお手伝いができたらいいなと思ってるんです。
星野 いや、素晴らしい。ぜひとも頑張ってください。これからのFantの発展を楽しみにしています。今日はありがとうございました。
「ジビエは狩猟と食という、ふたつの文化が融合することから生まれます。ぜひとも北海道で、北の大地ならではの恵みに触れてみてほしいです」と高野さん
高野 はい、美味しいジビエをもっと豊かに提供できるようにがんばります。ありがとうございました。
株式会社Fant 代表取締役 高野沙月
北海道音更町出身。明星大学造形芸術学部を卒業後、東京でグラフィックデザイナーとして勤務。2016年北海道上士幌町にJターン。2019年株式会社Fant設立。2022年「J-Startup HOKKAIDO」に選定される。