当記事は「星野リゾート」の提供記事です。元記事はこちら。 星野リゾート代表・星野佳路がゲストを招いて話を聞く対談シリーズ。今回はジビエの流通に関わる会社「Fant(ファント)」代表取締役の高野沙月さんと対談の最終回。
1回目から読む2回目から読む まさに影の立役者。ジビエの流通に欠かせない「食肉加工施設」
星野 それにしてもすごいですね。この購入希望者の入り口から拝見してると、いろんなジビエがあるんですね。シカはわかるとしてクマ、カモ、ウサギ、カラスまで。
高野 カモやウサギはよくご存知だと思いますが、カラスなんかもフランス料理店では人気なんですよ。
星野 へぇ〜、カラスが人気とは驚きですね。それで、買うときには獲物を丸ごとですか?
高野 鳥や小動物はそうしていますが、シカやクマは部位ごとにキロ単位でオーダーできます。
星野 それは小わけにして販売ができるように、Fantが精肉を担当してるっていうことですか?
購入希望者向けの画面。部位ごとに単価や注文単位が決められており、登録をすれば誰でもジビエの購入が可能になる
高野 Fantの施設と、Fantと協力関係の食肉処理施設で精肉を担っています。そしてそこが、Fantのしくみを支える非常に重要な部分です。
星野 というと?
高野 ご覧いただいたサイトではハンターとジビエ購入希望者というふたりの登場人物がいますが、その向こう側にはもうひとり「食肉処理業者」という登場人物がいます。
星野 食肉処理業者。つまり、獲物をお肉にする人、ということですね。
高野 ジビエを食肉として流通させるためには、狩猟から一定時間以内に基準をクリアした食肉処理施設で解体しないといけない、っていう決まりがあるんです。これを満たすためには、ハンターと食肉処理施設が密接に連携している必要があります。そのネットワークをつくっていくのもFantの役割のひとつだと思っています。
Fant直営の食肉処理施設で、エゾシカを解体する高野さん(右)。解体にも慣れてきて、早ければ一頭1時間程で処理してしまうそうだ
星野 なるほどなるほど。つまりたくさんの食肉処理施設さんと提携することで、ハンターが獲ってきた獲物をスムースに商品化できるようになる。するとハンターも、オーダーに対して機敏に動けるようになる。それがインターネットを使って狩猟を効率化していくっていうことなんですね。
高野 おっしゃるとおりです。そうした動きを見据えると、私たちも門外漢でいるわけにはいかない、解体や食肉処理のことをきちんと知っていないといけないと思って、2022年には自前の食肉処理施設をもちました。ジビエを小さな単位で販売できるのは、この施設があるからですね。
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