ハンターとジビエ購入者をつないで、みんなをハッピーに
星野 とはいえ、なかなかにユニークですよね。中心になっている事業はどんなものですか?
高野 いろいろありますが一番わかりやすいものでいうと、飲食店のジビエ需要とハンターをつなぐwebアプリです。
Fantはインターネットを使ってジビエの流通を効率化しようとしている。その鍵になるのがアプリの導入だ
星野 このサイト(
https://fant.jp)ですね。「ハンターの方はこちら」「ジビエを購入する方はこちら」ってありますね。
生々しくなりすぎず、かといって命を軽んじる空気にはしたくなかったというFantのトップ画面。元デザイナーという高野さんのセンスが見事にいかされている
高野 いわゆるネットショップは在庫のあるものを注文しますが、Fantの場合は少し違っています。サイトを経由して、購入希望者はあらかじめ価格設定されたジビエをオーダーします。
Fantのシステムを支える登場人物たち。ハンターや飲食店だけでなく、食肉処理施設までをひとつの輪として捉えている
星野 まず購入希望があるんですね。
高野 そうです。オーダーはハンターに公開されるので、その獲物を提供できるというハンターは名乗り出ます。そのハンターと購入希望者をマッチングさせてから、ハンターは猟に出る、という形をとっています。こうすることでハンターは猟の前に、どんな獲物がどのくらいの価格になる、といった条件を確認することができます。
星野 なるほど。だからハンターと購入希望者、それぞれの入口があると。そしてこのやり方ならハンターも、収入のめどを立ててから猟に出ることができますね。
高野 そうなんです。
星野 購入希望者のところには新鮮なジビエが届くし、産地や猟の様子も明確になる。それと、在庫のないものでもハンターが獲りにいけるとなると、飲食店さんのメニューのバリエーションが増えることにもつながりそうですね。
高野 おっしゃるとおりです。お互いにお互いが求めるものを知っておくだけで、ジビエに関わるいろいろなことを効率化できる。その点が、Fant最大の特徴だと思っています。
<3回目に続く>
株式会社Fant 代表取締役 高野沙月
北海道音更町出身。明星大学造形芸術学部を卒業後、東京でグラフィックデザイナーとして勤務。2016年北海道上士幌町にJターン。2019年株式会社Fant設立。2022年「J-Startup HOKKAIDO」に選定される。