当記事は「星野リゾート」の提供記事です。元記事はこちら。 星野リゾート代表・星野佳路がゲストを招いて話を聞く対談シリーズ。今回はジビエの流通に関わる会社「Fant(ファント)」代表取締役の高野沙月さんと対談の2回目。
1回目はこちら。
どこで、どうやって?古い世界になじめない、新人ハンターの悩み
星野 北海道に帰ってからはどうなさったんですか?
高野 実家から少し離れた上士幌町っていうところで3年間、町役場で働いてたんです。その間に地元の猟友会に所属して、週末は狩猟をやっていました。
星野 なるほど。その3年間で狩猟を勉強して、いろいろなノウハウを身につけていったということですか。
対談会場となったOTTO SETTE TOMAMUはリゾナーレ トマム サウス棟の31階。窓からは自然の山にとけこむような、トマムスキー場を見下ろすことができる
高野 そうです。
星野 じゃあその間は、ジビエ食べ放題?
高野 はい。いろんなジビエをいろんな調理法で試してました。
星野 夢が叶いましたね。高野さんみたいに地方に戻ってきてハンティングをするっていう人は増えてるんですか?
高野 ここ数年は若い世代のハンターが増えてます。
星野 すると皆さん、高野さんと同じように猟友会に入られるわけですか。
高野 それがそうでもないんです。昔は狩猟を始めるとなると猟友会に入って、先輩ハンターについて、いわば徒弟制度のようななかで技術やノウハウを身につけていきました。けれど若い世代のニーズは変わってきています。たとえば猟友会は高齢の方がほとんどですが、そのコミュニティになじめない新人ハンターには、なかなか活躍の機会が巡ってこないんです。
星野 なるほど。
高野 そういう若いハンターと触れ合うことも多かったので、なんとかしたいと思って、町役場で働いているときにハンター向けのSNSを立ち上げました。
星野 SNSですか?
高野 はい。昔ながらの狩猟の世界観になじめない新人ハンターは、誰に教えを請えばいいのかわからない、どこで狩猟をすればいいのかわからないという戸惑いがあります。それならお互いに、どこでどんな狩猟をした、そのときにこんなことが問題になった、という情報を共有できれば、自分たちで問題解決ができるんじゃないかと思ったんです。
ジビエを食べたい、から始まった高野さんの情熱は、狩猟での困りごとを少しでも解決したい、へと変わってきた
星野 それはいいですね。たくさんのハンターが集まったんでしょうね。
高野 はい。最終的にサイトの登録者は1300人ぐらいいて、活発な意見交換ができる場になっていたと思います。
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