身辺調査の心配事は、自分は周りの人からどう見られているのか?
星野 銃の所持許可、っていうのがあるんですね。知りませんでした。でもそれは、くださいといってすぐくれるようなものじゃないですよね?
高野 はい。まず筆記試験と何種類かの実技試験があります。実技は実際に銃の扱い方を見られるので、けっこう難しいんです。それに受かると身辺調査があります。
星野 身辺調査?
高野 会社の上司や友人や実家に警察から連絡が来て、この人は銃を持っても大丈夫な人ですか、って確認されるんです。
星野 身辺調査はイヤだなぁ(笑) でも試験の結果だけで判断するんじゃなくて、所持しようとしてるのが人としてどういう人なのか。それを知るために周りの人に聞いてみる、っていうのは理にかなってますよね。
高野 そうですね。私も身辺調査の時はちょっと心配で。銃の所持許可がもらえるかどうかよりも、自分は周りからどう見られてたんだろう、心の中であの人は....て思われてたらどうしよう、っていうほうが気になりました。
「え、そうなんですか?」「そんなことになってるの?」「へぇ〜、知らなかった」と、狩猟の話に星野は感嘆を繰り返した
星野 でもまぁ、なんとかなった(笑)
高野 はい。どうやら周りの人には、そんなに心配はかけてなかったみたいです(笑) それが済んだら精神科に行って、私自身が精神的に健康ですっていう診断書を書いてもらいます。
星野 やっぱり銃を持つっていうのは大変ですね。それで、ジビエは食べ放題になったんですか?
高野 それがそうはいきませんでした。東京に住んでいたので、奥多摩などの山間部で狩猟をすることも考えたんですが、どうしてもフィールドが限られてしまいます。狩猟に出かけること自体が大変なんです。
星野 そうですよね。ハンターは獲物がいるところに行かないといけないですもんね。
高野 はい。それなら狩猟が盛んな北海道に帰ったほうがいいなと思って、地元に帰ることにしました。
星野 一大決心をいとも簡単に、ですね。そのレストランでジビエに感動してから銃を手にするまでは、何年くらいかかったんですか?
高野 たぶん半年くらいです。
星野 半年! じゃあもう本当に、わーっと進んだ感じですね。
テーマが ”狩猟をどうやってビジネスに変えていくか”に移っていくと、対談は経営者どうしのユニークな意見交換へ
高野 はい、自分でも驚きました。
高野 それってすごいですよね。だって東京でデザイナーやってた人が、地元に帰って猟銃を持つようになるんですよ。ジビエレストランで、人生変わっちゃうぐらいの衝撃を受けたんですもんね。高野さんのなにかと、ジビエっていうのがものすごく共鳴したんでしょうね。いやぁ、すごいなー。
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2回目に続く>
株式会社Fant 代表取締役 高野沙月
北海道音更町出身。明星大学造形芸術学部を卒業後、東京でグラフィックデザイナーとして勤務。2016年北海道上士幌町にJターン。2019年株式会社Fant設立。2022年「J-Startup HOKKAIDO」に選定される。