新作モデルは天然素材仕様の自信作
恐怖心と向き合い、自分のやり方を信じて商品を作り続け、シューズは大ヒットし、現在「オールバーズ」は世界中の人たちから愛されている。
最近リリースした最新モデルの「プラントペーサー」は、数年かけて開発した天然素材仕様の自信作だ。
「100%植物性のプラントレザーであるミラムを使用したモデルで、フットウェアとしては初となるサステナブルな代替レザーを採用しています。100%プラスチックフリー&ヴィーガン素材のみを使用し、環境にも優しいこれまでにないものです。
これからも天然素材の革新的な開発を通じ、サステナブルファッションの限界を広げ続けていきます。非常にわくわくしています」。
ニュージーランド(以下、NZ)には自然資源がたくさんあるが、そんな中、ティムが着目したのはウールだった。そこには彼なりの愛国心が込められている。
「1984年に羊は約1億頭いたのですが、数が減っていくのと同時に羊毛事業が斜陽産業になっていきました。誰もあとを継ぎたがらないし、やりたがる人もいない。
私はNZ出身なので、どうにかして母国の産業に貢献したいという思いから伝統的で質の高いメリノウールを選びました。
NZならではの豊かな自然を守り、環境負荷を低減することを非常に誇りに思っていますし、自然の恵みを利用し、より良いものをより良い方法で作るというのが我々のミッションであり、モットーであると確信しています。
弊社は今年で7年目に入り、「オールバーズ」というブランドは、創業以来、革命を牽引している企業であると思っています。我々の強みは枯渇することのない好奇心やクリエイティビティ、環境問題への取り組みなど、それらは無限の可能性を秘めています。
今後も我々が中心となり、アーティストやクリエイターなどいろんな人を巻き込みながら、それをカルチャーというフィルターを通して、新たな可能性を模索しながらリードしていかなければならないと感じています」。
好奇心こそアイデアの発露の源であると、ティムは改めて語る。日常の中で特に参考になるのが何を隠そう、子供と一緒にいるFUN-TIMEだった。
先日娘から「パパ、なんで世の中にはいい人と悪い人がいて、何で悪い人は悪い人になっちゃうの?」と聞かれて驚きました。自分もかなり好奇心旺盛なほうですが、子供たちの純真無垢な好奇心にはかないません(笑)。
この世で最も純粋な好奇心に触れられる瞬間は、自分にとっては非常に新鮮で、改めて好奇心を持つことの大事さを教えられているような気がします」。
仕事のときに限らず、ティムは日常の中でも“好奇心のアンテナ”を立てている。
インタビュー終了後、自身の好奇心にまつわる日本でのエピソードを挙げてくれた。
「以前、サッカーNZ代表として日本代表と試合をしたとき、初めてスポーツドリンクのポカリスエットと出会ったんです。最初見たときは驚きました。
だって飲み物の名前がまさかの“ポカリスエット”って!? 信じられないですよ、“汗”ですから(笑)。でも飲んでみたらすごく美味しくてびっくり。それからは日本に来るたびに飲んでいます」。
人懐っこい笑顔をたたえながら「ね、好奇心ってやっぱり大事でしょう?(笑)」と言いながら、席をあとにする。
今回の日本滞在中、ティムのアンテナは、いったい何をキャッチするのだろう。我々にもなぜか小さな好奇心が芽生えてしまった。
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