大人だし、古着出汁●一点投入すれば、着こなしの“いい出汁”になる古着。では、いい年した大人たちは、古着の“出汁”をどう味わう?
▶︎すべての写真を見る 古着を効果的に、まるで出汁を効かせるように取り入れられれば、着こなしの幅は断然広がる。それを実践しているひとりが、モデル・水上剣星さんだ。今回は彼の愛用古着と着こなしマイルールを聞いた。
話を聞いたのは……
水上剣星さん 水上剣星(みかみ・けんせい)●1984年東京生まれ、横浜育ち。モデルとしてだけではなく、俳優としても活躍。無類のキャンプ好きとしても知られ、その知識と感性を活かしてディレクションを手掛けるブランド、クライマーズクライマックスも話題だ。
若かりし頃より、古着とは自然体で付き合ってきたという水上さん。ヴィンテージか否かに関わらず、いつも直感で気に入ったものを手に入れてきた。
「ミリタリー、スケート、ワーク、アウトドア……と王道のジャンルを偏りなく、気になったら時代背景など関係なく買いますね。最近はクローゼットから’90年代の古着を引っ張り出して取り入れることも増えました」。
大人になった今、水上さんは古着をテック系アイテムとミックスさせて着るのがマイブームだという。
① 15年前購入したミリタリーアウター
水上さんが最近よく着るというのが古着のミリタリーアウターだ。
「これは15年ほど前に古着店でたまたま見つけました。古着を買うときには、どこのブランドかや何年代のものかは一切気にしません。それよりもフィット感の方が僕にとっては大事。サイズがピッタリだったので衝動買いしたのを覚えています」。
水上さんがミリタリーアウターをよく着ていたのは’90年代。
そのときのスタイルは彼のルーツではあるけれど、着こなし方は年々変わっていった。
長い付き合いのミリタリーアウターは、くったりとして“いいアジ”が出ている
「昔は、このMA-1にリーバイスのヴィンテージデニムやミリタリーパンツを合わせて、足元はレッドウィングのアイリッシュセッターを履いていましたが、今はそれだとハード過ぎるんですよね」。
フライトジャケットの王道だけに、どうしても無骨な印象がある。ガチな軍ものであれば、なおさらだ。
パンツはストレッチ系機能素材を使ったクライマーズクライマックスのもの。
それをテック系のパンツで中和すれば、古着を効かせつつもやりすぎでない、いい塩梅のスタイルになる。
タグを確認すると70年代のアルファ社のものであることがわかった
メッセンジャーバッグは、友人のフォトグラファーの写真などをプリント。スタッズなど自分でカスタムを加えている。
「やっぱりかつて影響を受けた’90年代のアメカジスタイルはベースにあるのですが、重く見せないために軽快な機能性アイテムと合わせる。それが古着を取り入れるときのポイントですね」。
② 風合いが魅力のステューシー・ナイロンパンツ
クライマーズクライマックスのテック系プルオーバーと、’90年代ステューシーのパンツでコーディネイト。
そしてもうひとつ、水上さんが近頃気に入っているのが、ステューシーのパンツだ。
「最近、’90年代のステューシーが気になっているんですよね。このナイロンパンツは、友人から譲ってもらいました。トップスにはやはりテック系の機能派アイテムを合わせるのが気分です」。
オールブラックコーデも、古着の風合いのおかげで、いい抜け感を演出できる。
左ポケット下にロゴ刺繍、サイドにラインの入ったステューシーのナイロンパンツ。スニーカーは、コンバース×タカヒロミヤシザソロイストのもの。
’90年代当時は、多くのブランドがライン入りのナイロンパンツをリリースしていた。
ストリートスタイルの定番だったこのアイテムを、水上さんは、同年代の小物も織り交ぜながら楽しんでいる。
「当時買ったシャネルのサングラスと、小学生の頃にデプトで買ったバケットハットは今でも現役。こういう小物もよく取り入れています」。
流線型のデザインのサングラスは、’90年代を象徴するものだ。
’90年代に大ブレイクしたブラックフライのサングラスも複数所有
「昔はこんなサングラスを掛けて、スノボやスケート、サーフィンをする人が多かったですが、今着けると新鮮なんですよね」。
テック系アイテムを主とした着こなしに、古着の風合いで抜け感を加える。それが水上さんの古着出汁の効かせ方だ。