「これからの日本の暮らし(まち)」をテーマにしたトークセッションが開催された
そのチャレンジのひとつが、エースジャパン (京都府相楽郡)などが提案した「これからの『未利用間伐材を活用したベンチ』」。
代表の判藤慶太は、昨今の環境悪化のスピードの速さに驚き、できることはないかと考えるなかで、材料に無駄のない加工ができるデザインと製法でベンチを制作することを提案した。
「金型をつかったプレス加工で量産体制がとれるので、山の奥地も含めて全国の未利用間伐材を活用するための一手になればと期待しています」(判藤)
CDCではほかに、トイレやゴミ箱、食器など備品に関する多種多様な企画が選定された。
服部は「デザインとコ・クリエーションという考え方が事業に結びつくことで、これだけカラフルな方法論が出てきた。そこに賛同する人たちもたくさん出てきそうですね」と話した。
そのチャレンジの過程で生まれた方法論が、私たちの未来の暮らしの“当たり前”をつくることにつながっていく。
服部滋樹
地域住民とともにデザインする
CDCはこれからの“地域とプロダクト”の関係性を考えるきっかけにもなっている。
エイチ・ツー・オー リテイリングなどが提案した「想うベンチーいのちの循環ー」は、地域の事業者や生活者とともに制作するベンチだ。万博で使用する予定だが、会期後には地域に設置し地域住民が交流できる場をつくる。
選定事業のなかには、防災備蓄食品の備蓄の仕方をデザインした「サスティナブルストックプラン」(公益社団法人日本非常食推進機構)もある。
備蓄食品を新規購入するのではなく、関西を中心に全国の企業や団体から賞味期限が近づいたものを譲り受け備蓄する仕組みだ。会期終了後には地元のフードバンクや子ども食堂などへ寄附する。これも地域のステークホルダーとの連携が深い取り組みだ。
齊藤は、「万博は楽しくなければいけません。想定来場者数は2820万人と言われていますが、エンターテインメント性を入口に、より多くの方が参加したくなるようなモチベーションをつくれるように、熱量高く楽しみながら取り組んでいきたい」と締めくくった。