寒くなってくると、暖かいセーターなどのニットアイテムが欠かせない。だが、ニットの干し方やお手入れ方法に迷った経験はないだろうか。
また「着ようとしたらハンガーの跡が付いている」「なんだか丈が長くなってしまった」といった経験がある人でも安心してほしい。
今回は型崩れ、ハンガー跡を防ぐ干し方や洗い方、失敗したときの対処法や畳み方などニットの悩みに答えるあれこれを解説する。
セーターなどのニットアイテムの干し方はなぜ難しいのか?
ニットは伸び縮みしやすいので、干し方に工夫が必要だ。
水分を含んだニットは重みが増し、ハンガーにかけて干すと簡単に伸びてしまう。肩にぽっこりとハンガー跡が付いてしまうこともあるだろう。
他の衣類と同じようにハンガーにかけて干すだけでは、伸びたり型崩れの原因となってしまう。
お気に入りのセーターやニットのコンディションを保ちたい場合は、適切な干し方を押さえる必要があるのだ。
セーターなどのニット生地の干し方
平干しする方法
ハンガーにかけるのではなく、ニットを平らに置いて干す方法だ。
その際、あると便利なのが「平干しネット」である。このネットに袖部分や裾が重ならないように置こう。
吊るすタイプの平干しネットは重量が偏ると斜めになりやすいものもあるので、バランスを意識に置くことも重要だ。
ハンガーひとつで干す方法
跡がつきにくいハンガー
ハンガーひとつで干す場合、セーターやニット用など専用のハンガーを選ぶ。
丸みをおびたアーチ状のハンガーだと干したときに跡が付きにくい。また、分厚いニットや重さのあるものはなるべく太めのものが安心だ。
ただし、専用のハンガーを使ってもセーターの重みで生地が伸びたり、型崩れたりするため注意が必要だ。
ハンガーふたつで干す方法
ノーマルなハンガーをふたつ使うだけでも伸びや形崩れを予防しながら干すことが出来る。次のような手順で干すことで、重さが分散されて伸びにくくなるのだ。
ハンガーふたつで干す方法
①ひとつのハンガーにニットをかける。
②袖をクロスさせて肩部分に乗せる。(右袖を左肩へ、左袖を右肩へ)
③2つ目の横棒部分にハンガーに裾を引っ掛けて完成。
この方法であれば重さを分散することにより、生地が伸びるのを防ぎやすい。ただし、両袖が肩と重なる部分や裾がもたつく箇所は乾きにくくなるため、定期的に動かすなど注意が必要だ。
物干し竿にかける方法
シンプルに物干し竿にかける方法も効果的だ。
物干し竿にかける方法
ニットを横半分のふたつに折った状態で竿にかけてみよう。袖だけだらんと垂れてしまわないよう、袖もしっかり物干し竿に乗せることが重要だ。
しっかり乾かすために、重ならないように気を付けよう。
ピンチハンガーを使う方法
ピンチハンガーのピンチを使うのではなく、上面を使う方法だ。
大きいピンチハンガーであれば、ニットを広げるスペースがあり下面は空間があるので、意外と平干しに向いているため平干しネットの代用になる。
このときもニットが重ならないように、なるべく広げて干すことが大切だ。
セーターなどのニット生地の干し方のコツ
屋内で干すときのコツ
屋内で干すときのコツ
天気や時間に左右されず干すことが出来ることは、屋内で干す大きな利点だ。しかし、屋外に比べて密閉された空間なので、風通しの良さを重視しよう。
ニットは厚みもあり、脱水を控えめにした洗濯方法が多いため、乾くまでに時間を要する。
サーキュレーターやエアコンの除湿機能、浴室乾燥など短時間で乾くように工夫することが大切だ。
早く乾くことで不快な生乾き臭を防げるので、ぜひとも実践してほしい。
屋外で干すときのコツ
ニットを屋外で干すとき、案外見落としがちなのが「陰干しする」ということだ。ウールやナイロンなど、ニットによく使われている素材は直射日光に弱いことが多い。
日の光が当たり過ぎると色落ちや黄ばみの原因になってしまうのだ。ニットの色落ちや黄ばみは修復が難しく、そのためニットは陰干しが基本と思っておいていいだろう。
だが、陰干しだと他の衣類に比べて乾くまで時間がかかってしまう。なるべく早く乾かすためには、屋内同様風通しの良い場所を選びたい。
セーターやニットの干し方に失敗したら?
スチームアイロンを使う方法
スチームアイロンを使う方法
ニットが伸びてしまったり跡が付いてしまっても、スチームアイロンで直る場合がある。
まずはニットの洗濯表示を見てみよう。アイロンの高温がNGでないかどうかをチェックする。高温NGであれば当て布が必要だ。
問題なければ、ニットから1cmほど離してスチームを当てよう。直接アイロンがニットに当たらないように注意しながら、スチームをたっぷり当てる。
火傷に気を付けながら伸びた部分は手で縮ませ、跡がついた部分は優しく伸ばしていく。その後湿った部分をしっかり乾かせばOKだ。
ドライヤーを使う方法
スチームアイロンがない場合、ドライヤーで直すことができる場合も。スチームアイロン同様、伸びてしまった繊維を熱で縮ませるという仕組みだ。ドライヤーをニットに近づけすぎたり、火傷に気を付けて作業しよう。
気になる部分をしっかり濡らし、ドライヤーで温風を当てながら丁寧に形を整えていく。
なお、完全に乾くまでドライヤーを当てる必要はない。むしろ長時間熱風を当てると生地が痛む可能性があるので気を付けたい。形が整ったら濡らした部分は自然乾燥でしっかり乾かそう。
セーターなどのニット生地の正しい洗い方
用意するもの
適度な大きさの洗濯桶に、30度以下の水を用意する。素材にもよるが多くのニットは熱いお湯に入れてしまうと痛む原因となるので、水温には気を配ろう。
そしてオシャレ着洗い用洗剤も用意しておきたい。手荒れが気になる場合、ロングタイプのゴム手袋もあると良いだろう。
手洗いする方法
道具を揃えることが出来たら、下記の手順で手洗いする。選択した後は、先程の手順でしっかりと乾かそう。
①30度以下の水の中に既定の量の洗剤を入れ、かき混ぜる。
②ニットをたたんで入れる。
③全体を優しく押し洗いをする。20~30回を目安にすると良い。
④新しい水に入れ替えて、再度押し洗いをしてすすぐ。泡立ちがなくなるまで繰り返す。
⑤洗濯ネットに畳んで入れ、洗濯機で脱水のみ行う。1分程度の短時間で済まそう。
洗濯機で洗う方法
洗濯機で洗う方法
避けたほうが良いものもあるが、洗濯機は最も手間がかからず綺麗にできる方法だ。
洗いたいニットにちょうどいい大きさの洗濯ネットと、オシャレ着洗い専用の洗剤を用意しよう。
①ひとつのネットに1着を入れたら、オシャレ着洗い専用の洗剤を既定の量投入する。
②洗濯機のコースで「オシャレ着洗い」や「ソフト」など選択。
③完了したら素早く干す
洗濯機で洗う場合、脱水時間に気を付けなければならない。脱水時間が長くなると生地が伸びる原因になるため、長くても1分を目安にすることが重要だ。
セーターなどのニット生地の収納のコツ
ニットのたたみ方
たたみ方
もともと厚みのあるニットを、なるべくかさばらないようにたたんで収納したい。そんなときはこちらのたたみ方をマスターしてみると良い。
ニット以外にも使えるので、覚えておくと良いだろう。
①平らな所で、背中側を上にして広げて置く。
②袖を持って、肩部分から縦に折りたたむ。
③袖を縦に折りたたんだ部分と平行になるよう、重ねて折る。
④反対側も同様に折りたたむ。
⑤裾を首元に持っていき、半分に折りたたむ。
⑥ひっくり返して完成。
収納方法
ニットの収納方法
上でたたんだ状態から、さらに横半分に丸めてボックスや引き出しの中に入れてみよう。コンパクトになり見やすくなるうえ、伸びや型崩れしにくい状態で収納できる。詰め込み過ぎないように気を付けよう。
無理に詰め込むとシワや型崩れの原因にもなってしまう。また、ニットはとても引っかかりやすいので、奥行きがあり深めの入れ物にゆったり収納できると安心だ。
長期保管する場合、虫食いを防ぐために防虫剤も入れておくと良いだろう。