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車内にいると自然とオフになりココロが落ち着きます



多忙でありつつ多趣味でもある矢倉にとって、特に好きなのが車。「物心がつく前から好きなんです」と、微笑みを浮かべる。「ミニカーも大好きでしたし、幼稚園の弁当箱はランボルギーニのカウンタックのカタチのものでしたから(笑)」。

そんな矢倉にとって車と過ごす時間が何よりのFUN-TIME。

「オフィスと家の往復だけでは物足りないので、日曜の早朝4時からハンドルを握っています。ほんの数十分ですが、精神的にオフの状態で誰もいない道を目的もなく走るというか、単純にひとりで車の中にいることで無になれるといいますか……。一旦、自分の仕事でのプロセスを客観的に見直せるんです。

懸念事項だったことが、実は悩む必要がなかったと気付いたり、ほかのやり方を思いついたり、新たにクリエイティブなアイデアが浮かんでくることも。そして車中では辻井伸行さんのピアノをBGMに過ごすことが多いです」。

ビシッと決めたスーツスタイルからは一変、普段着で乗り込んだのは矢倉が今注目するランドローバーの最新モデルであるレンジローバー・オートバイオグラフィー。

「国産セダンやクラシックカーなど、これまでいろんな車に乗ってきましたがそれぞれ魅力があって、SUVにはSUVにしかない快適な居心地があります。定期的に家族でキャンプに行くので、こんな車で出かけたいと思っていました」。

シートの感触を噛み締めながら、車内のさまざまな部分をうれしそうにチェックしている矢倉に、理想の大人の男性像について訊いた。ここでも優しい人間性が垣間見える回答が返ってきた。

「やっぱり相手方の気持ちがわかる男性ですよね。そのうえで、優しさを持って、真摯に対応できるっていう。仕事もプライベートも相手があっての世界なので、そのために相手をいかに理解しようとするか、その努力ができるかが重要になってくるのだと思います」。

海外との時差の関係から毎朝4時前には起床。メールチェックやビジネスパートナーとのミーティングを済ませると、そのあとは矢倉いわく“自分だけの大切な時間”。

「子供の弁当、それと朝ごはんを作ることも毎朝のルーティンになっています。そんな凝ったものではなく、手早くできるものなので、人様に振る舞えるようなものではないのですが。

ちなみに、家族からは卵焼きの評判が上々です(笑)。喜んでもらえることが、何よりの原動力になっています」。

仕事のことをいっさい忘れて没頭できるという料理の時間は、何ものにも代えがたいという。また料理と同じくらい食べることも大好きである矢倉に、最後の晩餐に何を食べたいか訊くと「卵焼きですね」と答えるも、「……でもなあ」と逡巡する。その真意を問うと。

「最後の晩餐は、自分が食べたいというより家族に振る舞いたいなと思います。そのときも、やっぱり評判の卵焼きがいいです。あ、やっぱり、こんな答えじゃだめですかね……(笑)?」。

人なつっこい笑顔をたたえながら、バツが悪そうに答える。自分のことは後回し、常に他人優先で、そのために全力を尽くす。弁護士の鑑である矢倉は、イクメンの鑑でもあり、なおかつ大人の鑑でもあるのだ。


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