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2022.11.17

ライフ

色褪せない“銀塩”の温もり。写真好きな渡辺真史さんが「フォートウエノ」を探訪

訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

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学生時代に一時期カメラマンを志したほどの写真好きという渡辺真史さん。

そこで、今なおアナログプリントを続ける写真店「フォートウエノ」の敷居をまたぐ。話を伺ったのは、御年74歳を迎えた、店主の上野起正さん。

渡辺 渋谷と恵比寿の間、明治通り沿いで、長く営んでいる印象があります。

上野 1971年の創業で、’88年に今の店舗に移転して、はや51年ですね。

渡辺 お〜、僕と同い年(笑)。その頃から豊かな時代になり、カメラを所有する家庭も増えたんでしょうね。

上野 はい。当時は、カラーフィルムが安かったことも一因だと思います。

渡辺 昔は、100年プリントなんてCMもありましたね。



上野 実は最近、またアナログプリントが人気なんですよ。特にファッション系やタレント系のフォトグラファーが、フィルムを紙焼きしたいみたいで。

渡辺 その流れは確かにありますね。

上野 今は、デジタル写真が全盛になって、他の店舗が商売をやめていくなか、ウチはおかげさまでフィルムを続けることができています。

渡辺 時流とともに、廃業された写真店は、たくさんあったんでしょうね。

上野 後継者がいなくなったり、アナログの機械が使えなくなったり、デジタルに対応できなかったり、理由はいろいろだと思います。ウチは息子が継いでくれているのが、安心材料です。

渡辺 で、上野さんのところに今、現像依頼が押し寄せていると。地元の方やフォトグラファーも利用しているようで、やっぱり技術が高く、上野さんへの信頼も厚いんでしょうね。

上野 長く使い続けている自慢の機械があるんです。

渡辺 興味深いなぁ。

上野 銀塩の用紙に手焼き風のプリントができるもので。暗室で手焼きをしたような風合いに仕上がります。

渡辺 銀塩の紙焼きならではの味わいってありますもんね。

上野 一枚60円で受けています。

渡辺 安い!(笑)

上野 昔は半額の30円でした(笑)。

渡辺 絹目にしたり、フチを付けたりと懐かしいですね。今はフィルムも一度、デジタルに起こしてからプリントする時代ですから、これは貴重ですよ。

上野 お客さんには、そう思っていただけてるみたい。ただ、フィルム製造は斜陽気味で、価格も高騰しました。

渡辺 今までフィルムで撮っていた方が、使いたいのに使えないというか。贅沢なものになってきているんですね。

上野 非常に困った状況です。でも、好きな写真と長年向き合ってきたからこそ、フィルムがある限りは現像業を続けていきたいですね。

——温かみのある質感や柔らかなトーン。写真が手軽に撮れる現代に、アナログの味わいを改めて痛感する。

 「フォートウエノ」
住所:東京都渋谷区東2-23-7 山田ビル1F
電話番号:03-3407-1202 
営業:10:00〜20:00(土曜・祝日は12:00から) 日曜定休
instagram@photoueno


若木信吾=写真 髙村将司=文

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