
ビームス プラスでディレクターを務める
溝端秀基さん。
後輩たちから“MZO(みぞ)さん”という愛称で親しまれる彼は、一体どんなA面(Active面)とB面(BEAMS面)を 持っているのだろうか?
Let's パパラッチ!
A面 溝端秀基といえば古着。まずは行きつけの古着店巡りをパパラッチ

溝端秀基(みぞばた・ひでき)1982年、大阪生まれ。梅田、渋谷などさまざまな場所でのショップスタッフ経験を経て、2016年にビームス プラスのディレクターに就任。以後、服作りに加え、バイイングも手掛けている。
溝端さんは、とにかく好奇心が強い人だ。世の中のあらゆることにアンテナを張り、気になったらとことん突き詰める。守備範囲は仕事に関係するものだけでなく、テレビ・ラジオ、家電に至るまで幅広く、深い。
何でも探求することが好きだという彼は、中学時代から古着にどっぷりハマり続けている。
溝端さん行きつけの高円寺にある古着店「CA.」。●東京都杉並区高円寺南4-24-9(https://caatkouenji.jp/)
溝端さんが生まれ育ったのは、大阪府の岸和田からほど近い泉州。かつては小さな古着店が数多く点在したエリアだ。
「当時、岸和田周辺のアメカジをベースにしたスタイルは、“キシカジ”と呼ばれていたんです。学生の頃はバイト代が入ったら仲間と地元の古着店や、電車を乗り継いで梅田、アメ村まで行って掘り出し物を見つけることに力を注いでましたね(笑)」。
それから20年以上経った今も、基本的なスタンスは変わらない。東京では定期的に高円寺の古着店を巡り、掘り出し物を探しているという。
そんな溝端さんの行きつけのひとつが、「CA.(シーエー)」だ。

店内に足を踏み入れるや、溝端さんはすぐさま気になるプロダクトを手にとる。
'50年代にカナダで作られたチェック柄のシャツに注目。
「このシャツはすごく面白いですよ。モダンなチェック柄なんだけど、個性のあるオープンカラーでタグの入れ方も大胆。カナダ製なので、アメリカンウェアとはまたひと違う雰囲気があるんですよね」。
シャツを試着する溝端さん。
古着のメッカを巡る理由は、古着市場のチェックだけではない。
CA.のオーナー・杉浦忠司さんは、溝端さんにとって古着の先生である。
「高円寺の古着店には、ある意味“答え合わせ”感覚で足を運んでいます。ここ(CA.)のオーナー・杉浦さんをはじめ、古着の深い知識を持った先生方が多いので、自分が得た知識や情報が正しいのかを確認しに来るんです。
たまに他のお店で買ったアイテムを持ち込んで、質問することもありますね(笑)」。

信頼できる目利きがいる店で、縫製や素材、デザインがどんな時代背景や用途で生み出されたものなのかを徹底的に答え合わせするのも、溝端さん流の古着の楽しみ方だ。
他にも、サントラップやリカー、ロスコーなど、高円寺の古着店を巡るときには、必ず立ち寄る行きつけが数店あるという。そして店舗ごとにジャンルの異なるエキスパートがいるのも頼もしい。

「’60年代のアイビーならここ、’50年代のロカビリーならあそこ、といった具合に、高円寺にはカテゴリーごとに強みを持った店があって、各々クセが強いセレクトをしているのも面白いんです」。
柄シャツだけでもコレクションは膨大。常に増え続けている。
長年の古着店巡りによって、膨大な古着コレクションと知識を増やしてきた溝端さん。こうして築いてきた財産は、ビームスでの仕事(B面)にも、存分に活かされている。
2/2