“子供は未来から来た未来人”。だからこそ、子供が夢と未来を描ける場に。
併設するカフェスペースは、イベントスペースになることも。
「未来コンビニ」が目指すのは、買い物環境の改善、そしてもう一つ、木頭地区の未来を担う子供たちのための場所になること。
少子高齢化が進む限界集落だからこそ、子供たちに「未来コンビニ」でたくさんの文化に触れて刺激を受けてほしい、そして未来の無限の可能性と選択肢に気づいてほしい、という願いを込めます。
「未来コンビニのコンセプトの背景に、“子供は未来から来た未来人”というものがあります。この先の未来を作っていくのは、この地域で育った子供たち。だからこそ未来コンビニは、子供たちが自然と集まり、夢と未来を描いて行けるような場でなければなりませんね」。
店舗責任者の宮脇貴之さんは、東京の飲食店への勤務を経て木頭地区に移住した。
子供たちの未来を担う場として地域に根を張っていく中、宮脇さんはある出来事が印象に残っているそう。
「今年のお正月、子供たちがお年玉を握りしめて未来コンビニに来てくれたんです。普通の地域だとありふれた光景かもしれませんが、そのお年玉で一生懸命、駄菓子を選んでいる姿が心に残っています。
未来コンビニはなかなか子供だけでは来づらい場所にありますが、もっと利用しやすい環境づくりを行って、将来、子供たちが大人になった時に、未来コンビニがあってよかった、と思い出せるような場所になっていきたいです。
また、コロナ禍でのオープンとなってしまったのでイベントはそんなにできていませんが、木頭地区の歴史や文化を伝えたり、店内でディスプレイしているポップの書き方を教えたり、昔懐かしい駄菓子のポン菓子を提供したりと、子供たちが楽しめる場となって未来につなげていけたらと思っています」。
他店には真似できないアナログな手法で、地域の人の暮らしに寄与していく。
毎週火曜日は鮮魚の入荷も。
食料品や生活雑貨を求めに来たり、カフェスペースで談笑したり。コロナ禍で地域の人との交流がはかりにくい状況とはいえ、お店には地域の人がひっきりなしに訪れます。
オープンから2年ほど経った今、「未来コンビニ」はすでに地域の人にとってはなくてはならない存在になっているよう。
「私たちがいきなり『買い物ができる施設を作りました!』『木頭地区の未来のために、街を変えていくぞ』という姿勢から入っていたら、地域のみなさんにすぐには受け入れてもらえなかったと思います。
私たちが大切にすべきは、地域のみなさんと一緒に歩んでいくこと。
商品のセレクトもそう。惣菜やお弁当といったコンビニに欠かせないものより、調味料や豆腐や牛乳、スイーツといった商品が求められるなら、その声にきちんと答えていきます。
手法は極めてアナログかもしれませんが、この地域で愛され、持続可能なお店にしていくには、他のスーパーやコンビニができないような取り組みに、一つひとつ丁寧に向き合っていく必要があると思っています」。
木頭ゆずを使ったお菓子は、県外から訪れた人のお土産に人気。
こうして地域の人に向き合い、寄り添う「未来コンビニ」。ここ最近は、県外の人も訪れるように。
「たくさんのデザインアワード受賞がきっかけでメディアへの露出も増えたこともあって、週末は県内外の方にもお越しいただくようになりました。未来コンビニにはない商品をお求めの方には取り扱いしている別の商店を案内したりと、最近では道の駅的な役割も担いつつあります。
地域の人にとっても観光客にとっても必要とされる場所という少し難しい立ち位置かもしれませんが、外の人たちと地域の人たちが楽しく交流できるような、地域コミュニティの場になっていけたら」。
さらにこの春、「未来コンビニ」に加え、同じ木頭地区では短中期滞在用のゲストハウス、地元の人が楽しく健康に体を動かすためのキックボクシングジムのオープンも控え、さらなる活性化が進んでいきます。
「未来コンビニのほかにも新たな事業が始まることで、新しい雇用が生まれ、移住者も増えています。こうして地域が中から元気になることで、より地域に誇りを持ってもらえると思います。私たちとしては積極的に地域の人との接点を作りながら、この先も一緒に未来に向かって歩んでいきたいですね」。
限界集落に誕生した「未来コンビニ」での挑戦的な取り組み。木頭地区のシンボルとして、そして地域の誇りとして、地域の人から観光客にまでこの先も愛されていくに違いありません。
「未来コンビニ」
住所:徳島県那賀郡那賀町木頭北川いも志屋敷11-1
電話番号:0884-69-2620
営業時間:8:00〜19:00
定休日:木曜 ※2022年5月11日(水)より水曜に変更