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2022.09.02

ファッション

「ヴァンズ」の“元祖”を履く贅沢。スニーカーを裏返してわかる、青いアウトソールの愉悦

正式なモデル名は「オーセンティック 44 デッキ DX」。この44という数字は「オーセンティック」が生まれた当初の名称である“#44”に由来している。各8800円/ヴァンズ(ヴァンズ ジャパン 03-3476-5624)

正式なモデル名は「オーセンティック 44 デッキ DX」。この44という数字は「オーセンティック」が生まれた当初の名称である“#44”に由来している。各8800円/ヴァンズ(ヴァンズ ジャパン 03-3476-5624)


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ヴァンズは年中履いているけれど、特に気分が乗るのはやっぱり夏だ。なぜか。

陽光煌くカリフォルニアの生まれで、もともとは船の上で履くデッキシューズとして開発されたというその出自が、夏のイメージを想起させるのではないだろうか。

そんなヴァンズの、ブランドとしてのオリジンに迫るような復刻版が登場した。設立当時のカリフォルニアの工場で生産していたシューズにオマージュを込めた「ヴァンズ アナハイム ファクトリー」コレクションからの新作である。

一見したところお馴染みの定番モデル「オーセンティック」だが、実はクラシックなディテールの作り込みに徹底的にこだわっている。現行モデルと大きく違う点は、スニーカーを裏返してみるとわかる。

通常は格子状のワッフルソールだが、全面に細いスリットが入ったブルーカラーのアウトソールを採用。濡れた場所でも高いグリップ力を発揮する、このモデル本来の姿である“デッキシューズならでは”のディテールなのだ。

アッパーの色はベーシックなホワイトとレッド(どちらも実に味わい深い色み)に加え、1970年代初期の生地にインスパイアされたネイビー地のアンカー柄という3種類を用意。どの色を選んでも、ノスタルジックな夏の雰囲気を足元に運んでくれるに違いない。

また少々マニアックではあるが、アッパーとアウトソールをつなぐための、外周にぐるりと巻かれたフォクシングテープにも注目してほしい。現在は“光沢なし”のテープが巻かれるが、このモデルには ’60年代後半〜’70年代頃に生産されていた“光沢あり”が採用されている。

こんなふうにどこから見ても古き佳きアメリカの匂いに満ちた一足なのだが、履き心地だけは最先端というのが面白い。その秘密はオレンジ色のインソールにある。低反発素材「オーソライト」を使用し、長時間履いても疲れ知らず。伝統と革新の融合、そんな言葉が相応しい一足に仕上がっているのだ。

「丈夫なキャンバス素材のアッパーに、グリップのいいヴァルカナイズドソール。このスタイルを徹底しつつ、常に“オフ・ザ・ウォール(型破り)”なブランドでありたいと思っています」。これは以前オーシャンズで取材した、当時のヴァンズの副社長スティーブ・ヴァン・ドーレンさんの言葉だ。

デッキシューズの製作からスタートし、スケートやサーフィンといったストリートスポーツを通じて人気が広がっていた稀有なブランド、ヴァンズ。そのDNAが見事に息づいた本作にて、この夏を締め括ってはいかがだろうか。

清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文

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