我々が普段食べている牛肉の大半は、大麦やトウモロコシなどを飼料に育った“穀物牛”である。しかし、今は新たに、草を餌に育った“牧草牛”に注目が集まっているらしい。
「グラスフェッドビーフ」と呼ばれるその肉で、なんと18kgものダイエットに成功したのが、医師で精肉店「SaitoFarm,」を経営する斎藤糧三さん。今回は牧草牛のメリットについて、ご本人に詳しい話をうかがった。
話を聞いたのはこの人!
斎藤糧三●株式会社日本機能性医学研究所所長。機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点「斎藤クリニック」医師。2017年、スーパーフードとしての牧草牛に注目し、日本初の牧草牛専門精肉店「SaitoFarm,」をオープン。
牧草牛と穀物牛って何が違うの?
――先生自身、牧草牛でダイエットに成功したそうですね。 はい。もともとはレッドブルを愛飲して朝マックを食べるというジャンクな食生活でしたが、2011年頃から牧草牛中心の食生活に切り替えて、18kgのダイエットに成功しました。
――それはすごいですね。まずは牧草牛と穀物牛の違いを教えていただけますか? まず肉っていうのは、与えられる餌の影響を受けるというのが大前提。肉質も餌によって大きく変わります。
たとえば天然の魚も、植物性プランクトンを食べる青魚を大型のマグロなんかが食べて、そのマグロを人間が食べる。魚油に入っているオメガ3脂肪酸、つまりEPAやDHAは基本的には植物性プランクトンから来ているんです。
牛肉ダイエットのビフォー・アフター。
――まさに食物連鎖ですね。 そうです。牧草牛の場合は草の栄養というより、土壌から吸収するミネラルの栄養素がとにかく豊富です。特にたんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンB群、カロテノイド。そして必須脂肪酸のオメガ3を多く含み、オメガ6との比率も理想的です。
穀物牛はオメガ6が過多で、飼料の穀物にも農薬や遺伝子組み換えが使われている場合が多く、太らせるために成長ホルモンを混ぜることもあります。最終的にそれを人間が食べているわけです。もともと草食の牛に穀物を与えているのも不自然ですよね。
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