母国ブラジルでの優勝となったフィリペ・トレード
続いてご紹介するのは、2015年、2018年、2019年とRio Oi Proで優勝経験のあるフィリペ・トレードです。
今シーズンのオーストラリアで行われたRip Curl Pro Bellsで優勝し、今シーズンはどの試合でも9位以下の成績が無く、好調をキープしていた選手です。今回は母国ブラジルでの開催。さらに、3度の優勝経験のある今大会はかなり気合が入っていたと思います。
ブラジルの熱狂的なファンの応援もあり、順調にファイナルまで勝ち進み、ファイナルの相手も同じブラジルのサミュエル・プポ。サミュエル・プポはワイルドカード、特別枠で2度Oi Rio Proに出場経験はありましたが、CT選手(※CT選手とは男子36名、女子18名のみが出場できるWorld Surf Leagueが組織する世界最高峰のプロサーフィンツアー)になってからは今シーズンが初めてのルーキーの選手です。エアーを得意とする選手でどのような試合運びを見せるのか楽しみでした。
開始早々は両者共に攻め続けるものの、技を決めることが出来ず点数が伸びない時間が続き、10分が経過するというところで動きがありました。プライオリティー(優先権)を持っているサミュエル・プポがライト方向に乗り、プライオリティーを持っていないフィリペ・トリードがレフト方向へ。
サミュエル・プポは最後のセクションでバランスを崩してしまいますが、プライオリティーを持っていなかったフィリペ・トリードは、前から来た波にタイミングを合わせ、バックサイドエアーリバースを決めてなんと10ポイント、満点を叩き出したのです!!
Daniel Smorigo/World Surf League
波の大きさ、エアーの高さ、ボードのテール(下の部分)が上を向く、3Dのような動きの難易度の高いバックサイドエアーリバースをこのタイミングで決めることができるメンタルに驚愕しました。
10ポイントを出したことでリズムに乗ったフィリペ・トリードはその後すぐにマニューバーで8.67ポイントを出し、トータルスコアを18.67ポイントにします。
サミュエル・プポが優勝するためにはコンボ2本を揃え直さないと行けない状況に追い込まれ、最後に8ポイント出すもここでタイムアップとなり、フィリペ・トリードがRio Oi Pro4勝目を飾りました。
母国での試合はパワーにも繋がりますが、想いが強いだけにプレッシャーになることもあると思います。そんな中、全てパワーに変え、最後も10ポイントを出せるメンタルの強さを見ることのできた試合でした。
今大会の優勝者はRip Curl Finals出場権を獲得
CT上位5名のみが出場できる2022年9月8日から16日までローワー・トレッスルズで開催されるRip Curl World Surf League Finals への出場権を、今大会の優勝者であるフィリペ・トリードとカリッサ・ムーアが獲得しました。
この試合に出られないと、ワールドチャンピオンになることができないので、この後の試合で誰が出場権を得ることが出来るのか注目して見ていきたいと思います。
ブラジルにおいてサーフィンの盛り上がり方
今大会見ていて感じたのがブラジルの中でサーフィンというスポーツがかなりメジャースポーツになっていると感じました。ビーチで観戦している人の数を見ているときっと万単位の観客が集まっており、CTの試合で1番盛り上がっているように感じました。
Tiago Diz/World Surf League
これは選手としてもかなりモチベーションに繋がると思います。現に今大会のブラジル選手の勢いは凄く、メンズ部門に関しては準々決勝に進んだ8名中6名がブラジリアン。セミファイナルは4名全員がブラジリアンでした。
選手のレベルもさることながら、サッカーや野球などのメジャースポーツ同様、ホームという強さもかなり感じることができる大会でした。
いつか日本で行われるサーフィンの試合でも、盛り上がってくれる日が来ることを願いたいです。
次は2022年8月11日からパリオリンピックのサーフィン会場(フランス領ポリネシア・タヒチ島チョープー)で行われるOuterknown Tahiti Pro大会が開催されます!ぜひ皆さんも注目してみてくださいね!