フラグメントデザイン 主宰 藤原ヒロシ●1964年生まれ、三重県出身。’80年代からDJとして日本のクラブシーンを牽引。音楽活動やファッションデザイナーのほか、主宰するデザイン集団フラグメントは名だたるブランドとコラボする。
▶︎すべての画像を見る コラボレーションには本来の協業や合作のほか、協力という意味もある。そこに異なるもの同士が互いに理解し、認め合った結果、予定調和というよりもむしろ化学反応のような新たな魅力が生まれる。
その点において、ブルガリと藤原ヒロシの出会いは理想的ではないだろうか。
ブルガリウォッチとの初コラボは「ブルガリ・ブルガリ」。本人にとってそれは、1980年代のバブル期のラグジュアリーを象徴し、当時のクラブシーンでも強く印象に残った。
その雰囲気を活かしつつ、自身が抱いたイメージの再構築がテーマになったという。
「フラグメント× ブルガリ ブルガリ・ブルガリ 世界限定モデル」。「ブルガリ・ブルガリ」の前身になった「ブルガリ・ローマ」誕生45周年に当たる2020年に日本限定で発表されたコラボを、さらに世界限定で展開。NATOストラップは写真のマルチカラーだけでなく、ブラックも付属する。世界限定600本。SSケース、41mm径、自動巻き。57万2000円/ブルガリ(ブルガリ ジャパン 03-6362-0100)
はたして完成したモデルは、インデックスをそぎ落としたマットブラックダイヤルと、美しいポリッシュで仕上げたSSケースとのコントラストが際立ち、硬質感のあるシャープな光沢がバブルの熱気をモダンに蘇らせる。
スポーティなNATOストラップに、誰もひと目でこれを「ブルガリ・ブルガリ」とは思わないだろう。だがそれも決して自身のスタイルを好むような世代や層を引き寄せるのではなく、ブルガリファンに向けて新たなチョイスを増やすという方向性で取り組んだそうだ。
コラボではオリジナルの良さを絶対になくさない。その信念に自身のクリエイティビティを加える。世界が彼のコラボを待ちわびる理由がわかるような気がする。