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2022.08.06

時計

カルティエ「サントス デュモン」誕生物語。知ればきっと、この傑作時計がもっと好きになる

飛行家 アルベルト・サントス=デュモン●1873年生まれ、ブラジル出身。同国のコーヒー王を父に持ち、幼い頃からの憧れから飛行家になった。飛行船でのエッフェル塔周回などさまざまな記録を打ち立て、時代の寵児に。

飛行家 アルベルト・サントス=デュモン●1873年生まれ、ブラジル出身。同国のコーヒー王を父に持ち、幼い頃からの憧れから飛行家になった。飛行船でのエッフェル塔周回などさまざまな記録を打ち立て、時代の寵児に。


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あるとき、ひとりの飛行家が社交界で出会った友人に相談を持ちかけた。

当時、大空を舞台にした航空競争はしのぎを削り、正確な時間計測が不可欠だった。そのため操縦桿から手を離すことなく時間が読み取れ、堅牢性にも優れた腕時計を作ってくれないか。その難題に友人は快く応えた。

飛行家はアルベルト・サントス=デュモン、友人とはルイ・カルティエ。そして1904年に誕生した時計が「サントス デュモン」だ。

四角のダイヤルからストラップへと連なる滑らかなラインに、ビスを配した力強いベゼルを備えた独創のデザインを損なわず、現代的な存在感あるサイズに。手巻き式にこだわり、巻き上げにもダンディな様式美が味わえる。K18PGケース、縦46.6×横33.9mm、手巻き。196万6800円/カルティエ 0120-301-757

四角のダイヤルからストラップへと連なる滑らかなラインに、ビスを配した力強いベゼルを備えた独創のデザインを損なわず、現代的な存在感あるサイズに。手巻き式にこだわり、巻き上げにもダンディな様式美が味わえる。K18PGケース、縦46.6×横33.9mm、手巻き。196万6800円/カルティエ 0120-301-757


このふたりの男の出会いと友情が生んだ時計に、当時の男たちは羨望の眼差しを注いだ。

というのもサントス本人は、チャレンジ精神旺盛な冒険家としてだけでなく、常にスーツ姿にハットを被ったファッションリーダーであり、華やかなセレブリティだったからだ。その腕元に収まる時計に衆目が集まらないはずがない。

こうして1911年に一般にも販売されるようになったのである。

懐中時計に代表される旧世代と決別するような先進的な角形ダイヤルに、ケースは美しいラインを描き、個性とエレガンスを湛える。

時代は移り変わり、技術革新や新たな感性を与えながらも、その基本のスタイルは今も変わらない。「サントス」は世界初の紳士用高級腕時計と称される。

だがそれだけでなく、その登場によって時計は男の冒険心とダンディズムの象徴になったのだ。

村本祥一(BYTHEWAY)=写真 柴田 充=文

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